大学生の就職活動/就職活動の準備

企業が大学生に求める力とは? 2(3ページ目)

みんなは学生だ。企業は学生であることを分かった上で採用するんだ。なのになぜわざわざ課外活動で自己PRする必要があるんだろうか。素直に授業で学んだ「企業が求める力」をPRすることが、正しいはずなんだ。

執筆者:見舘 好隆

関東学園大学
「コンピテンシー育成プログラム」

関東学園大学
「関東学園大学」 企業が求める力(コンピテンシー)獲得を前面に打ち出した大学。学ぶべき点は多い。
関東学園大学のカリキュラムの中で最大のPRポイントは、「コンピテンシー育成プログラム」である。
※コンピテンシー…ハーバード大学行動心理学教授、デビッド・マクレランドが提唱した理論。活躍する社員(ハイ・パフォーマー)に共通の行動として安定的に発揮される能力を指す。
関東学園大学の所在地は、群馬県太田市。郊外であるため、近隣にある自動車や電子産業などの企業への進路がメインの進路となる。そこで就職課が周辺の154の企業や地方自治体をインタビューし、また学生や卒業生、教職員を対象にアンケートを実施、そのデータを元に教員が検討し、関東学園大学にて育成するべきコンピテンシーを抽出した。「コンピテンシー育成プログラム」は、このコンピテンシーを以下の施策で向上させる。
  1. 1、2年生必修(教員アドバイザーの設置)
    まず、1、2年生は必修である。そして担当教員がアドバイザーとして一人10名を担当する(ゼミ形式)。まず、学生個々の状況を把握し、状況に応じたアドバイス(後述する最適なプログラムの提供)を行い、年度末に達成度を把握しつつ、次年度へのアドバイスも行う。
     
  2. Plan Do Seeサイクル(コンピテンシー・ディクショナリーと自己評価)
    コンピテンシー・ディクショナリーとは、各コンピテンシーについて、学生の行動特性を7段階のレベル別に記述した指標を指す。それを元に、学生自ら今のコンピテンシーのレベルを自己評価し、今年度向上させる目標レベルを自己設定させ、計画を策定させる。イントラネット上に「自己管理シート」を学生自身に管理させ、担当教員は気が付いたときにコメントする仕組みだ。年度末には、自らまた自己評価をし、次年度の目標設定を行う(企業における自己評価シートに似ている)。つまり学生自らがPlan Do Seeサイクルを回転させることを目標としているところが、画期的だ。
     
  3. 年間教育プログラム一覧
    自分の現状のコンピテンシーを把握し、目標とするレベルを設定したところで、どうやって向上させればいいのかを教員はアドバイスしなくてはならない。よって、「年間教育プログラム一覧」を年度始めに配布することで、学生自らが目標とするレベルへコンピテンシーを向上させるプログラムを選び、計画を立てる仕組みになっている。注目すべきは、就職課や教員が企画したキャリア支援プログラム以外の、学生がコンピテンシーを身につける可能性があるイベントや学内委員、アルバイトまでも全てを網羅し、獲得コンピテンシーを提示している点だ。

このように、そのまま就職する可能性が高い企業が求める力を獲得するための授業を、全学生必修で2年半履修する点は珍しい。このカリキュラムの成果が期待される。


※次のページで、首都大学東京・都市環境学部地理環境コースの例を紐解く!


 
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