大学生の就職活動/就職活動の準備

企業が大学生に求める力とは? 2(2ページ目)

みんなは学生だ。企業は学生であることを分かった上で採用するんだ。なのになぜわざわざ課外活動で自己PRする必要があるんだろうか。素直に授業で学んだ「企業が求める力」をPRすることが、正しいはずなんだ。

執筆者:見舘 好隆

金沢工業大学
「KIT IDEALS~それは、KITの人間力」

金沢工業大学
「金沢工業大学」 PDCAサイクルを回すことを全学で実施するなんて、素晴らしい!
「就職率99.7%!5割が上場企業・大手企業・公務員に就職!」

金沢工業大学(以下KIT)のHPに輝く「就職に強い金沢工業大学」としての自己PRだ。高い就職率や大手企業への就職を大学が目標とすべきことなのかという議論もあるだろうが、週刊誌でもやたら大学の評価をそれに求める傾向がある以上、それをPRすることは、2007年に全入時代を迎える大学生き残り時代においては、必要なことだろう。

KITにおいて注目すべき点は、KITの役割として「専門知識・技術を身につけた社会に適合する能力『人間力』のある技術者を育成し、教育付加価値日本一の大学を目指す」と公言している点だ。「人間力」の構成要素は、以下のように定義されており、わかりにくいが「企業が求める基礎力」と近い意味合いを持つ。
  1. 「基礎学力(主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力)」、「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを継続的に高めていく力。また、それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」、「創造力」などの知的能力的要素。
  2. 「コミュニケーションスキル」、「リーダーシップ」、「公共心」、「規範意識」や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」などの社会・対人関係力的要素。
  3. これらの要素を十分に発揮するための「意欲」、「忍耐力」や「自分らしい生き方や成功を追求する力」などの自己制御的要素など。
その人間力を身につけるために数々の授業が実施されているが、その中で代表的な「工学設計教育」を紹介したい。

「工学設計教育」は、文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されたプログラム。KIT独自の「プロジェクト型」教育で、そのプロジェクトとのプロセスを通して、人間力(ここでは「課題発見解決能力」「創造性」「分析力」「応用力」「協調性」「プレゼンテーション力」)を獲得することを目的としている。授業の流れは以下となる。
  1. テーマの設定
  2. チームの編成
  3. 情報収集
  4. 解決案の提案
  5. 解決案の設計・製作
  6. 分析・評価
  7. プレゼンテーション
事例を一つ紹介する。まず課題テーマが教授から与えられる(例:『小一 遊具で窒息死で』の新聞記事を配布。滑り落ちて首が引っ掛かる事故の状況やうんていのサイズが示される)。次に学生は課題を解決する案を策定し、「夢考房」(※詳細は下記)にて試作を行い、最後にその成果を発表する流れとなる。確かに、かなり対課題能力、対人能力が鍛えられることはいうまでもない。プロジェクト型授業に体験し、そのプロセスにおいて「企業が求める基礎力」を身に付けさせようとしている好例だ。この授業を1年生から4年生に至るまで、全員受講しているKITの学生は、きっと人間力は実施前よりも高くなっていることは想像に難く無い。


※次のページで、関東学園大学の例を紐解く!

※人間力とは「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と内閣府・人間力戦略研究会にて定義されている。(出典:「人間力戦略研究会報告書」

※夢考房…意欲ある学生が授業外の時間を使って思う存分勉強及び実践をすることをサポートする、自学自習の場。電子基盤製作から、樹脂加工、金属加工、木工に至るまで、技術や用途に応じて選べる各種工作機械や実験設備、木材、金属、ボルト、ナット、電子パーツなどの材料や工具を揃えている。



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