大学生の就職活動/就職活動の準備

企業が大学生に求める力とは? 2

みんなは学生だ。企業は学生であることを分かった上で採用するんだ。なのになぜわざわざ課外活動で自己PRする必要があるんだろうか。素直に授業で学んだ「企業が求める力」をPRすることが、正しいはずなんだ。

執筆者:見舘 好隆

立教大学院ビジネスデザイン研究科
「企業や官公庁の最前線の現職が教壇に立つ」

立教大学院ビジネスデザイン研究科
「立教大学院ビジネスデザイン研究科」 つい先日、卒業しました!
※記事「授業を通して企業が求める力を得る!その1」より続く。
今度は私が通っていた(2006年3月卒業)立教大学院ビジネスデザイン研究科を紹介したい。この大学院の魅力は、専門分野の研究者から、企業の最前線で経営に関わっている特任教授まで、教授陣がバラエティに富んでいること。その授業の中で、印象深かったものをピックアップして紹介する。

    「マーケティング・エッセンシャルズ」青木輝夫教授
    青木先生は、三菱商事→ローソン取締役→ローソンCSカード代表取締役→現在、デジタルガレージ取締役、イーコンテキスト取締役という、特に流通ビジネス最前線を突っ走ってきた特任教授だ。基本的な講義は、マーケティングの基本的理論となるが、コンスタントに宿題が課され、期日までにレポートにまとめなくては単位は取得できない。ゲストとして菱食やローソン、フォートラベルの経営陣を招いた講義もあり、非常にアグレッシブな授業だった。その中でも一番刺激的だったグループ課題を紹介しよう。

    <課題>あなた方は、「しまむら」の経営企画部の幹部社員です。このたび、具体的な戦略策定を行い、2005年11月10日(木)に開催される経営会議において、その戦略を提案することになりました。また、この資料がIRにも活用できるように「しまむら」がこれまで順調に成長してきた検証を具体的かつ客観的に説明するという視点も加味して欲しい提案がありました。※11/10は実際にプレゼンを行う日です。

    つまり、IR資料として投資家向けにこれまでの事業の特徴、ビジネスのKSF(Key Success Factor:事業や業界におけるカギとなる成功要因)を説明し、かつ社長や役員向けにこれからの事業計画を発表しなくてはならないのだ。前者は過去の文献や資料を紐解けば何とかなるが、問題はこれからの事業計画。経営陣役の人は、同じように事業計画を立ててきたライバルグループなので、厳しい突込みが想定される。これじゃあ、机上のディスカッションでは太刀打ちできない!ということで、我がグループ3人は休日を投じて、しまむらの店舗に取材に行き、忙しい店長に無理やり時間を取ってもらいインタビューを決行した。結果、比較的説得力のある提案を作ることが出来た。

    ここでポイントは、課題を取り組むことで、これまで話し合うことも無かった人と共同作業をし、これまで行った事も無い街へ赴き、初対面でアポも無く取材を申し込み、これまで知ることも無かった企業を理解し、発表をしたことだ。共同作業をした仲間から少しは信頼を得られ、今まで知らなかった企業のビジネスモデルを把握し、ちゃんとレポートに対しても先生から適切なコメントを頂け、非常に達成感の高い授業だった。企業で磨いたセンスや理論を学べるなんて、とてもゴージャスだと思った。

    その他、経済産業省石黒憲彦先生の「ビジネス・パブリック・ポリシー」、前述したEQパートナーズ社長の安部哲也先生の「リーダーシップ論」など、その他の「最前線に立つ人の講義」も同様に説得力抜群の、素晴らしい授業だった。もちろん、その他ビジネス経験が無い教授陣によるアカデミックな講義と平行して得られるものだが。

    実践に基づいた、フィールドワークやグループ討議、課題発表など、自ら行動しなければ成果が出ないスタイルの授業にどんどん参加すれば、自ずと「コミュニケーション能力」「論理的思考力」は身に付くことを、私は自信を持ってみなさんに主張できる。だって、ほんとに楽しかったし、その経験は今の仕事にも役立っているのだから。

    「VISION立教大学の改革と挑戦」に青木先生は紹介されてます。


    ※次のページで、金沢工業大学の例を紐解く!

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