企業が大学生に求める力とは？　3

首都大学東京・都市環境学部地理環境コース
「JABEE認定の教育プログラム」

「首都大学東京・都市環境学部地理環境コース」　私が勤める大学です。

※記事「授業を通して企業が求める力を得る！その２」より続く。
東京都立大学理学部地理学科は、2003年度に日本技術者教育認定機構（JABEE）の教育プログラムとして日本の地理学教室では初めての認定を受けた。これにより、卒業生は修習技術者の資格（技術士補と同等の資格）を得ることができる（引き続き継続認定されれば、首都大学東京都市環境学部地理環境コースの卒業生にも修習技術者の資格が授与される）。

日本技術者教育認定機構（JABEE）とは、技術系学協会と密接に連携しながら技術者教育プログラムの審査・認定を行う非政府団体。JABEEに認定された教育プログラムを修了した学生は、以下の能力を持つことが証明される。

1. 地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
2. 技術が社会や自然及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対して負っている責任に関する理解（技術者倫理）
3. 数学、自然科学及び情報技術に関する知識とそれらを応用できる能力
4. 該当する分野の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力
5. 種々の科学、技術及び情報を利用して社会の欲求を解決するためのデザイン能力
6. 日本語による論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力及び国際的に通用するコミュニケーション基礎能力
7. 自主的、継続的に学修できる能力
8. 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力

どれも素晴らしい能力であり、どの企業も欲しがるに違いない人材と言えよう。もちろん、上記の能力を持つことを保証するために、学習・教育の量や教育手段、教育方法、教育組織、教育環境、学習・教育目標の達成、そして点検及び改善の仕組みが、外部機関により厳しく審査されている。

そもそも、従来企業は、何となく大学名だけで学生の質を判断し、面接の対象にしていたと思う。たった数回の面接やグループディスカッションで、上記能力を測ることは不可能だ。しかし、JABEE認定の教育プログラムを修了しているならば、かなりその学生の質に期待できよう。企業にとっても願ったり叶ったりの仕組みと言える。

いずれは、文系の学部学科にも、同じような仕組みが生まれることを期待したい。


※次のページで、立命館大学院の例を紐解く！