マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

マンションも自助努力の時代! 管理会社のレベルを見る10の視点(2ページ目)

マンション「ストック時代」を迎え、管理費の妥当性や修繕計画への関心が高まるなか、管理会社の能力をはかる10のポイントを作成してみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

<10のチェックポイント>
5)受託管理戸数

管理戸数の多さと管理レベルが必ずしも比例するとはいえませんが、受託数が多いというのはひとつの「実績」であり、スケールメリットの効果もあります。例えば下水管清掃を例に取れば、管理会社が自社で下水管の掃除を行うことは少なく、専門の清掃業者へ再委託するのが一般的です。専門業者へ発注する際に再委託数が多いほど戸当たりのコスト(単価)を安くすることが可能となりますので、管理組合にとってもメリットとなります。

また、管理戸数が多いということは安定的な収入を確保しやすくなりますので、3番目の「経営安全度」とも連動してきます。

6)事務管理報告の頻度

マンション管理業者は管理事務の報告を委託を受けた管理組合に管理者(理事長など)等が置かれているときは(中略)定期に、当該管理者等に対し管理業務主任者をして当該管理事務に関する報告をさせなければならない(適正化法第77条)とされていますが、条文では「定期」にすればいいとしか規定されていません。

事務報告とは具体的に管理費や積立金の収納状況(滞納者の有無など)、エレベーター保守や給排水設備点検結果、さらに管理員の活動日報並びに共用部分の清掃記録など、管理会社の受託業務を管理組合へ報告することです。管理会社のほとんどは報告頻度を「毎月」としていますが、「隔月」や「3カ月」の場合は改善が必要です。

7)会計の透明性

一言でいえば「お金のフローとストックがガラス張りの状態であるか」ということです。「フロー」とは管理費を指し、「ストック」とは修繕積立金のことで、ストック&フローが分別管理のもと適時適所に使用されているかどうか、がポイントとなります。実務レベルでは管理会社がマンション会計業務を代行しています(自主管理を除く)ので、管理組合の請求で会計内容をいつでも情報開示するか?委託業務費の内訳が細かく明示されているか?使途不明金はないか?必ず確認してください。

マンション会計はその性格上、営利を追求する「企業会計」とは異なり「公益法人会計」に近いとされていますが、限られた収入で最大限の効果をあげることが求められる管理組合会計は明快な会計基準が存在しないぶん、分かりづらいのが現状です。

理事長はじめ会計担当理事や監事には是非、がんばってもらいたいところです。

8)ISOの取得

管理会社が提供しているものはマンション管理に関する「サービス」ですが、サービスの品質を客観的に評価することは容易ではありません。そこで品質マネジメントシステムに関わる国際規格ISO(国際標準化機構)9000シリーズ取得の有無によって管理会社の姿勢をみることができます。

9)周辺サービスへの取り組み

同業者による競争が激化するなかで、単純に管理組合のサポートをするだけではなく付加価値をつけ、他社との差別化をはかる管理会社が台頭してきました。

業界最大手の大京管理では管理員にホームヘルパーの資格を取得させ、ベニーエステートサービス(丸紅系列の管理業者)では同社が管理する分譲マンションにおいて、ハウスクリーニング・リフォーム・引越し業者紹介・レンタル用品のサービスなどを電話申し込みで対応するサービスを始めています。また、長谷工コミュニティでは季節用品の一時預かり(有料)をしたり、東急コミュニティでは受託管理組合を対象に管理費等のキャッシュフロー計算書の作成(無料)や運用相談を実施しています。

マンション居住者との良好な関係を継続するための「苦肉の策」といえます。

10)居住者の立場になって考えているか?

最後は最も重要なポイントです。管理会社からみて管理組合は“お客様”ですが、どれだけ居住者の立場になって親身に考えてくれるかで管理会社のレベルには雲泥の差が生じることとなります。

例えば上下階の住戸で騒音に対するトラブルが発生した際に、両者の言い分を聞き仲裁役を果たせるかどうか、ということです。仕事だからイヤイヤながらの事務的対応で、「当事者間の問題なので最後は管理組合で対処してください」などという担当者がいたら、残念ながらその人は失格です。

「他人の気持ちを察する」ことができる従業員をどれだけ抱えているかで、管理会社のレベル、引いては「将来性」までが見えてくるといえます。


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