マンション管理/マンション管理・購入後の基礎知識と注意点

マンションも自助努力の時代! 管理会社のレベルを見る10の視点

マンション「ストック時代」を迎え、管理費の妥当性や修繕計画への関心が高まるなか、管理会社の能力をはかる10のポイントを作成してみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

■自分のマンションを守れるのは「あなた」だけ!!

マンション管理会社の東洋ビル管理(東京都中野区 昭和39年創業)が東京地裁に自己破産の申し立てを行い、平成15年9月に事実上の破たん(負債総額約7億円)をしたのはご存知の方も多いと思います。管理戸数約5300戸(管理組合数68組合)の小規模業者ですが、管理組合の管理費や修繕積立金を使い回しすることで自社の資金繰りに充てていたようです。平成13年8月にマンション管理適正化法(以下「適正化法」)が施行され、同法により「財産の分別管理」が義務付けられましたが、同社は管理組合のお金を不正流用していたのでした。

委託契約をしていたマンション管理組合では居住者から集めた管理費等が一部戻らない事態も起こっており、管理会社の放漫経営の実態が明らかになりました。
  財産の分別管理 (適正化法第76条)

マンション管理業者は管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金などの財産を、自己(管理業者)の固有財産および他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。


■管理会社の「管理レベル」を調べてみよう

こうしたトラブルが発生するのは管理会社だけの問題ではなく、未然に防止できなかったマンション管理組合にも責任があります。理事長はじめ、会計担当理事や監事が目を光らせていれば起こりえないことで、マンション管理への無関心が最大の原因であったとも言えるでしょう。そこで、読者の皆さまの管理組合では同じ過ちを繰り返さないためにも、以下の10のポイントを参考に管理会社のレベルを確認してみてください。

<10のチェックポイント>

1)国土交通省への業者登録の有無

マンション管理を営もうとする者は国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない(適正化法第44条)ことになっています。登録を受けるには管理会社の資産や財産の内容に関する書類の提出が必要となるため、一定レベルの振り分けが可能となるのです。

逆をいえば、業者登録していない管理会社は“もぐり”ということです。

2)有資格者の数

マンション管理の資格というと「マンション管理士」を思い浮かべますが、適正化法によって管理会社は受託管理組合のうち30組合に1人以上の割合で成年者である専任の「管理業務主任者」を置かなければなりません(適正化法第56条)。管理業務主任者とは不動産取引でいう宅建主任者と同じようなもので、管理委託契約締結前の重要事項説明や日常管理における事務管理報告を行うこととされています。

もちろんマンション管理士や一級建築士、さらに電気工事や消防設備の技術者など、有資格者数が多いほど管理会社のレベルは高くなります。

3)経営安全度

冒頭で管理会社の破たん例を紹介しましたが、管理の主体は管理組合としながらも現実は管理会社がほぼすべての業務を代行している現状で、突然に倒産されては組合はたまりません。そこで管理会社の財務内容を確認し、倒産危険度を把握しておくことが重要となるのです。

上場企業であれば財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)が一般公開されていますので、さらに株価や格付けなどと合わせて経営安全度を調べることが可能です。非上場会社の場合、大手不動産会社の系列管理会社であれば親会社の内容を調べましょう。独立系や中小では管理委託契約更新の際に管理会社へ決算書を請求して分析するといいでしょう。「株主資本比率」や「有利子負債比率」をみることで資本効率や負債割合が分かります。

4)緊急時の連絡体制

休日や深夜にトラブルが発生したときに、管理員が常駐しているマンションでは管理員室へ駆け込めば初期対応ができますが、通勤や巡回管理ではそうはいきません。そこで、緊急時に管理会社のフロントマンや専門部署と即座に連絡がとれる体制が整っているか確認してください。

警備会社による機械警備が導入されているマンションもあると思いますが、こうしたセキュリティサービスは管理会社の管理レベルとは関係ありません。誤解のないように!

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