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住宅取得資金贈与の特例における非課税のポイント(2ページ目)

親などから住宅取得資金の贈与を受けたときには、一定金額までを非課税とする措置が設けられています。ただし、その規定は少し複雑なものになっていますから、しっかりと理解したうえで贈与の非課税枠をうまく活用するようにしましょう。(2016年改訂版、初出:2009年9月)

執筆者:平野 雅之


住宅取得資金の贈与を受けて非課税枠を適用するためには、一定の要件を満たさなければなりません。ここでは平成27年以降の要件をまとめていますが、平成26年以前とは少し異なる部分もありますからご注意ください。


取得する住宅に求められる要件

取得または増改築工事をする住宅で、贈与税の非課税措置を適用するためには次の要件が求められます。なお、居住用家屋が複数ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋にしか適用されません。

また、非課税措置は家屋とともにする敷地(借地権を含む)の取得も対象になりますが、敷地のみの取得は対象外です。建築条件付き土地売買契約の場合は、家屋の取得と一体性があれば対象になります。

取得または増改築後の家屋の登記上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
  ※ マンションなど区分所有建物の場合は、その専有部分の登記上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
 
店舗併用住宅などの場合には、床面積の2分の1以上が専ら居住用であること
 
中古住宅を購入する場合は、次のいずれかに該当すること
  ○ 取得日時点において、耐火建築物は建築後25年以内、非耐火建築物は建築後20年以内のもの
  ○ 上記の築年数を超える場合は、一定の「耐震基準適合証明書」「住宅性能評価書の写し」または「既存住宅瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類」により、地震に対する安全性の基準に適合することが証明されたもの
  ◯ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準へ適合させるための改修工事をすることについて、取得の日までに所定の手続きをしたうえで、改修後に一定の書類で証明されたもの
 
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋での居住を開始すること、または遅滞なく居住することが確実であること
  ※ 新築分譲マンション、新築分譲一戸建て住宅購入の場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに分譲主から引き渡しを受けていることが必要です。
  ※ 新築(請負契約)または増改築の場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、少なくとも屋根を有し(その骨組みを含む)、土地に定着した建造物(増改築の場合は既存の家屋と一体の建造物)として認められる状態になっていることが必要です。
 
増改築などの場合には、その工事費用が100万円以上、かつ、工事費用の2分の1以上が居住用部分に充てられること
 
増改築などの場合には、自己が所有し、かつ、居住している家屋について行なった工事であり、それが一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」、または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること
 
取得する家屋(家屋とともにする敷地の取得を含む)が、配偶者、一定の親族、その他特別関係者からの取得、またはこれらの者との間における請負契約などによるものではないこと
  ※ 贈与された資金で夫婦間売買などをした場合には、非課税の対象となりません。
 
取得または増改築する家屋は日本国内にあること


贈与を受ける人(受贈者)にも要件がある

受贈者の要件は次のとおりです。

次のいずれかに該当する者であること
  ◯ 贈与を受けたときに日本国内に住所があること
  ◯ 贈与を受けたときに日本国内に住所がない場合は、受贈者に日本国籍があり、受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること
  ◯ 贈与を受けたときに日本国籍も日本国内の住所もない場合は、贈与者が日本国内に住所を有していること
 
贈与を受けたときにおいて、贈与者の直系卑属(子や孫など)であること
 
贈与を受けた年の1月1日時点において、20歳以上であること
 
贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること


非課税枠の繰り返し適用は?

住宅取得等資金の贈与の特例を受けて住宅を購入した後、改めてリフォーム工事などをする場合には、使わなかった非課税枠の残りがある場合のみ、その残額分について再度、特例を適用することができます。

ただし、平成21年から平成26年の間においてすでに「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」を適用している場合には、平成27年以降の制度を使うことができない規定になっていますから注意しなければなりません。

なお、平成27年から平成28年9月までに「消費税率10%以外」の規定による非課税枠を使用した人は、平成28年10月以降に改めて「消費税率10%」の規定による非課税枠を改めて使用することができます。この場合、非課税の中古住宅購入などは再適用の対象外になります。


贈与税の申告は必須!

住宅取得等資金の贈与の特例による非課税枠の適用を受けようとする場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、贈与税の申告を必ずしなければなりません。

「どうせ無税だから」などと申告を怠れば、非課税枠の適用を受けることができず、従前の規定による高額な税金の納付を求められることになりかねませんから、期間内の申告を失念することがないようにしたいものです。


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