専業主婦を直撃する総量規制の現実!

もっとも影響を受けるのは専業主婦の場合です。改正貸金業法の総量規制はあくまで個人を対象に行われますから、年収のない専業主婦は一切借り入れができなくなります。しかし、これには「なんとかしてくれ」という非難の声があがりました。主婦の場合、通販系のカードを使って、そのキャッシングで苦しい家計のやりくりをしている人が結構多いのです。

こうした非難の声に答えて、金融庁も「夫の許可があれば借り入れを認められる」という検討を始めました。その結果、最終的には、配偶者貸付という例外措置が認められることになりました。配偶者と年収を合算してその合算額の3分の1まで貸付を認めるという制度です。

たとえば、夫の年収が250万円、妻の収入が50万円の場合、妻は夫婦の年収の合計額300万円の3分の1、すなわち100万円まで借りられるというものです。その際には夫の同意書と夫婦関係を証明する書類の提出が求められます。また、夫の利用可能額は妻への貸出額によって制限を受けます。妻がすでに80万円借りていれば、夫は残りの20万円しか借りられません。
国はこうした特例を認めて対応しようとしているのですが、夫の同意を得て借金をする妻が果たしてどれくらいいるでしょうか。

個人事業主に認められた特例にはびっくり!

個人事業主の場合も問題は深刻です。年間売り上げ1500万円というデザイナーがいます。彼は、毎年の還付が楽しみで、必要経費をできるだけ計上して所得を抑えようとしています。昨年は抑えに抑えて所得を150万円までに圧縮しました。その結果、100万円の還付金をまるまる獲得できました。個人事業主にとっては、この還付金がボーナスのようなもので、家族旅行の費用に使ったりしています。しかし、このところ事業は不調で月末には消費者金融から30万円のつなぎ資金を借りる状況がつづいています。現在の借入は消費者金融、カード会社を合わせて約400万円ほどですが、銀行を頼ることなく事業をつづけることができるので、これからも消費者金融やカード会社との付き合いは続くと考えています。

ところが、改正貸金業法が施行されたなら、総量規制がかかりますから、150万円の所得では50万円分の利用枠しか設定してもらえません。借入は残高400万円もありますから、50万円の利用可能額では完全にオーバーヒートです。もちろん、新規の借入は不可能ですし後は返すだけの生活になってしまいます。そうなってしまっては事業どころではありません。個人事業主としての仕事をやめて働きにでるか、妻もパートにでてもらい少しでも収入を増やす努力をするしか方法はないように思えます。

売上げを年収として換算する方法!

こうした苦境にある個人事業主は多いのです。そこで、金融庁はここでも特例を設けて救済を試みています。事例のような場合は、彼の売上の1500万円を年収とみてキャッシング枠を広げるというやり方です。1500万円でその3分の1の500万円まで枠を広げてもらえれば、問題なく現在の暮らしを続けることができるので万々歳です。

事業計画まで提出して小金を借りるのか!

しかし、この特例を利用するにはひとつの条件がつきます。つまり、希望者は年間の事業計画書、資金計画書をカード会社に提出する義務を負うのです。毎年その書類を提出してカード会社の担当者に説明して回らねばなりません。そうした努力をして初めて月に30万円の借り入れができるというわけです。しかし、そこまでして小金を借りる奴がどこにいるのかという声が聞こえてきます。計画書まで提出するならとっとと株式会社にした方がよいというのが巷の意見です。

このように今回の改正貸金業法は、チグハグな部分が数多くあります。このままいくと多くのカード利用者が迷惑を被るようになるでしょう。そこで、まだ遅くありませんから、改正貸金業法の完全施行日を延期するか、年収の3分の1という総量規制の基準を2分の1まで緩和するとか、何らかの手を打つときにきているのではないでしょうか。

なお、改正割賦販売法に関する記事は次に掲載しますが、経済産業省が5月30日までこの法律に関するパブリックコメント(国民から広く意見を募集する行為)を募集していますから、ぜひご覧ください。

【関連リンク】
改正割賦販売法に関するパブリックコメント募集(経済産業省)
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