借り入れ額だけでなく返済額にもキャップを被せる動き!
今回の改正業法はこれだけではありません。借りる金額だけでなく返済の金額にも規制がかかるのです。多重債務を防止するために、一人当たりの利用可能額は年収の3分の1と決められました。しかし、それだけでは不十分というので、毎月の返済額についても月収の3分の1まで、年収の36分の1まで で、それ以上取っては駄目という決まりです。さらに、新規顧客にたいしては、返済回数(期間)を5年以内に設定せよという規制も加わりました。このように借り入れ額から返済額、返済回数まで抑制して多重債務を防ごうとしているのです。しかし、これではあまりに厳しすぎると思います。海外キャッシングを巡る金融庁とカード会社の対立
規制が厳しすぎて不都合がでてきた分野があります。海外キャッシングがそうです。海外旅行の際にテロや伝染病(インフルエンザ)で現地に足止めされることがあります。そういう時などに緊急に現地通貨をATMから引き出すことができるサービス(5万円~30万円くらい)をいいます。「安心・安全」を補償するクレジットカードならではの特典といえるでしょう。カード会社とすると、基本的機能のため、これだけは改正業法の規制対象外に置いてほしいと懇願しています。しかし、金融庁は、同じキャッシングだから例外は認められないという立場を譲りません。これは困ったことです。カード会社が懸念しているのは、海外キャッシングを総量規制の対象にすると、海外旅行中に利用可能額をオーバーした場合に突然止められてしまう危険がでてくることです。最悪の場合、緊急時に現金を引き出せないという悲惨なことになりかねません。急増する信用情報機関へのアクセス数!
また、改正業法が施行されると、カード会社の負担が増えるといわれます。顕著なのは、信用情報機関への照会回数が激増することです。入会、更新だけでなく、一定金額以上の借り入れがあった場合には、かならず照会をしなければならない決まりになっています。具体的には残高10万円以上の人は3カ月ごとにチェック。残高10万円以上で自社5万円以上の貸付が発生した月は毎月チェックを義務づけられます。利用枠オーバーしたらすぐに止められる不安!
しかし、利用者からすると、いつも監視されていることになり、一旦利用可能枠を超えてしまうと、すぐにカードが使えなくなる恐怖にさらされます。その結果、キャッシングをする人が大幅に減るのではないでしょうか。この他にも即時発行で便利に使える流通系カードへの影響も心配されます。発行にあたっては、年収証明書などの書類が必要になるため、いまのようなスピーディな対応ができなくなる可能性もあります。
国民がみなキャッシング枠を外してしまったらカード会社はあがったり!
改正業法が、ここまで厳しく、また、信用情報をこまめにチェックされるようになると、本来資金を必要としている一般の人の利用が阻害されるのではないでしょうか。クレジットカードを取り巻く環境が急速に悪化し、窮屈になる気がします。悪くすると国民みながキャッシング枠を外してしまい、クレジットカードは買い物だけするツールになってしまうのではないでしょうか。トヨタファイナンスやJR東日本といった大手企業ならそれでもよいでしょうが、金融系のカード会社にとっては死活問題となります。利用者だけでなくカード業界にとってもやっかいな法律ができたものです。いずれにしろ、100年に一度という不況の最中にこうした時代錯誤の法律が施行されると、個人消費はさらに冷え込みますし、クレジットカード離れが大規模に起こるのではないかと心配されます。
施行を延期するか、様々な条件をもう少し緩和するか、何らかの対策を考える時にきているのではないでしょうか。
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