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あなたに貸す金はない!その1

改正貸金業法と改正割賦販売法の二つの法律が施行され、クレジットカードの利便性が大きく削がれようとしています。利用者サイドに立ってその影響を徹底的に分析し解説します。まずは改正貸金業法から。

岩田 昭男

執筆者:岩田 昭男

クレジットカードガイド

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改正業法でクレジットカードに総量規制導入!

これからはクレジットカードを何枚ももって使う時代ではなくなりそうです。その理由は、改正貸金業法と改正割賦販売法という二つの法律が完全施行されるからです。もともとは多重債務回避を目的に作られた法律ですが、規制の中心となるのが「総量規制」という概念。借り入れの多さが多重債務に直結するから、上限金利だけでなく、個人の利用額も厳しく定めようという考えです。

年収の3分の1までしか借りられない!

その結果、改正貸金業法が対象とする消費者金融とクレジットカードのキャッシングは、年収の3分の1までしか借りられなくなります。改正割賦販売法が対象とするクレジットカードのショッピングでは、年収から生活維持費を差し引いた金額しか利用できなくなります。キャッシングとショッピングはそれぞれ「利用可能額」という名称で、限度額を厳しく制限されるようになるのです。

年収の少ない人ほど悪影響を受ける!

注意しなくてはならないのは、これはカード一枚の限度額でなく、個人に与えられた信用の総額という点です。一般に年収の多い人ほど利用可能額は大きく、カードライフはこれまでとそれほど変わりません。ところが、年収が少なくなればなるほど利用可能額は小さくなります。それだけでなく、持てるカードの種類とその枚数が厳しく制限されるようになるでしょう。年収格差が顕著になるといえます。

信用情報の一本化によって多重債務を防止!

さらに、この「総量規制」を円滑に進めるために業態ごとに分かれていた信用情報機関を統合した指定信用情報機関が近々創設されます。これによって「クレジットカードのキャッシング枠を超えたから消費者金融の枠を利用しよう」といったことができなくなるため、多重債務防止に一定の効果があるとみられています。それとともに一人一人の借入額など信用情報も正確に記録され、照会できるようになりますから、利用者の信用情報がガラス張りになり、全国規模での多重債務者の駆逐には役立つでしょう。

普通にカードを使おうとする人が迷惑する事態!

今後のスケジュールですが、改正貸金業法は10年6月までに、改正割賦販売法は11年の秋までには完全施行される予定です。しかし、スケジュールが決まり、改正の内容はほぼ固まったものの、その規制内容があまりに厳しすぎるために、多重債務者ばかりか普通にカードを使おうとする多くの人たちに悪影響を及ぼすとして、懸念が広がっているのです。完全施行以後は、手続きがやっかいになるうえに審査も厳しく「急速にカード離れが進む」という業界関係者もあるほどで、心配されているのです。

「もう借りられなくなる日」突然ATMに借金を断られる!

では、具体的にどんな影響があるのか、私たちのカードライフはどう変わるのか、まずは改正貸金業法からみていきましょう。

これまでキャッシングの限度額は年収による一律の制限といったものはなく、あくまで消費者金融、カード会社の審査に委ねられてきました。消費者金融を利用すると年収以上でも借りることができました(複数社で)。それが今度は年収の3分の1までと厳しく規制されるようになりますから、多額の借り入れをしている人たちは直撃を受ける可能性が高いのです。

たとえば、年収300万円の人ならその人の利用可能額は100万円となります。が、それまでの借り入れ残高が400万円あったとすると、この人は新たな借り入れはできません。それどころか、残高が100万円を割り込むまでひたすら返し続けるだけとなります。ですから、ある日、ATMにカードを入れた途端、画面に「新規融資はできません。返済だけ受け付けます」という文字が出てパニックに陥ります。

こういう借金難民が10年6月以降、街に溢れるようになるのではないでしょうか。対象となる人は1000万人とも1600万人ともいわれていますが、いずれにしろ、突然借りられなくなるわけで、あとはヤミ金に走るか、自己破産、または自殺を選ぶしかなくなります。質の悪い人たちはコンビニ強盗や詐欺といった犯罪に走ることになるでしょう。最近、強盗が増えているという報道はその前兆ではないかと心配です。
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