日新火災の若者向け自動車保険、「U-25」。安さを一番の売り文句にして若者の心を捉えていますが、どれだけの人がこの保険商品を理解して入っているのでしょうか?
自動車保険は万が一の時のために入るものです。「U-25」についても、ただ安いからというだけで飛びつかず、しっかりと特徴を理解してから決断するべきです。
この保険はその名の通り「25歳以下の人」を対象にした保険です。詳しくは、「自動車保険に新規で加入する人で、加入する時の年齢が満25歳以下の人」と「日新火災以外の保険会社(共済などを含む)で既に契約している人で、過去に事故で支払いがあり、継続時に割増契約となる人」です。
従来の保険では25歳以下の若い人で新規加入だと、保険料がどうしても高くなってしまいました。そのため、保険に入れず、事故の際に後悔する人が多いようです。「U-25」は、このような無保険の不安を解消するために発売された新商品であると言えます。
最大の特徴は保険料が安いこと。今までの保険と比較すると平均20%も安くなるようです。一般的に若い時はお金に余裕がないものです。リスク面は分かるとはいえ余裕がある高年齢者の方が、保険料が安いというのは何か納得いきません。このような部分に目をつけた日新火災の戦略は評価すべきでしょう。
保険内容としては、「対人・対物・無保険車傷害」がセットになっています。また、対物事故でも示談交渉してくれるのも魅力です。PAPというセット保険では対人での示談交渉はしてくれるものの、対物ではしてくれません。「U-25」なら、対物でも示談交渉してくれるので、交渉に慣れない若い人は安心なのではないでしょうか。
更に個人で契約している人には他車運転危険担保特約(借りた車を運転中に事故を起こした際にも保険が適用される特約)が自動的にセットされます。
このように「U-25」は若いドライバーの需要をよく考えた上で作られた商品です。
しかし、安い保険なので当然ながら全てにおいて安心という訳ではありません。注意しておかなければならないのは、この保険は「相手に迷惑をかけない」を第一に考えているという点です。言い換えれば、相手は補償するが、本人に関してはそれほど保証されていないということです。
どういう事かというと、PAPならセットされている「搭乗者傷害保険」が付いていないのです。つまり、自分や家族が事故でケガをしても、補償はされないという事です。(対人保険では契約者本人とその家族は補償対象外なのです)
自分が運転していて、自分がケガをしたのを自分で治すのは、ある意味当然です。しかし、同乗していた家族まで補償されないのは考え物です。
また、車両保険に関してはエコノミー車両保険すら、この保険には付けることができません。最近はプロの仕業と思われる巧妙な盗難事件が多く発生しています。盗難の危険性の高い、高額なクルマ、人気のあるクルマを持っている人には、車両保険が付けられる通常の保険の方がいいかもしれません。
以上のように、この「U-25」に入るには、「自分のケガは自分で治す心構えがあるのか?」「自分のクルマには家族は乗らないのか?」「クルマが盗まれたら仕方がないと割り切れるのか?」等々、「U-25」に入る事で切り捨てなければならない部分を真剣に考えましょう。
理解した上で加入するのなら、独身のヤング・ドライバーにとって、安くて安心な保険と言えるでしょう。
「U-25」公式サイトはこちら
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