さて、シリーズ、「保険用語の基礎知識」パート2です。今回は、最近あまり目にしなくなってしまいましたが、今まで慣れ親しんできた以下の3つの用語について説明します。かつて任意保険に加入しようとしたら避けては通れなかった用語、BAP、PAP、SAPについてです。同じようなアルファベットが並んでいるだけに見えますが、その内容はずいぶんと違ったのです。(今でもこの制度を使っている保険会社もあります)
PAP
パッケージ・オートモビル・ポリシーの略で、日本語だと自動車総合保険といいます。パッケージと付いているだけに、車両保険を除いた、一般的に必要だと思われる5つの保険(対人、対物、搭乗者傷害、自損事故、無保険車傷害)がセットになっています。
PAPについて知っておくべきなのは、
1.示談交渉は対人事故のみ保証
ということです。
ですから、対物事故の時は原則として契約者本人が示談交渉をしなければなりません。(ただ、これはあくまでも原則です。普通はPAPの方でも代理店が積極的に対応して処理してくれるでしょう。)
SAP
スペシャル・オートモビル・ポリシーの略で、日本語だと自家用自動車総合保険といいます。これはPAPの特別セットみたいなもので、PAPの5つの保険に加えて車両保険もセットされています。日本語で「自家用」とくくられているだけに、自家用5車種(自家用の普通乗用車、小型乗用車、軽四輪乗用車、小型貨物車、軽四輪貨物車)のみ加入できる保険です。同じ自家用でも、その他の車種(二輪、キャンピングカー等)は加入できません。
SAPについて知っておくべきなのは、
1.対人・対物事故ともに示談交渉を保証。
2.車両保険が必須。
PAPと違い、対物事故の示談交渉も保険会社の義務となります。(PAPの場合はあくまで代理店などのサービス)ですから、SAPに入っていれば慣れない示談交渉をする必要はありませんし、まず安心な保険と言えます。車両保険が必須なので、PAPより保険料は高くなってしまいます。が、その車両保険にしても、エコノミータイプのものにすれば、PAPプラスアルファ位で済んでしまいます。
BAP
ベーシック・オートモビル・ポリシーの略で、日本語に直すと一般自動車保険といいます。名前の通り、ベーシック(基本)な自動車保険で、対人、対物、搭乗者傷害などの保険から必要なものを個別に加入する保険です。
BAPについて知っておくべきなのは、
1.単品の保険と称しているものの、対人保険が基本契約となっている。
2.保険会社による示談交渉が一切無い。
ということです。
原則として対人保険が基本契約となっているため、「対物保険のみ」といった形ではまず入れません。自賠責で補償されない対物保険だけ任意保険で入る、なんて事はできないのです。ですから、対物保険に入ろうとすれば、必然的に対人保険に加入しなければならないのです。しかも、このBAPで対人保険と対物保険に入ると、同じ補償金額のPAPと保険料がほとんど変わらないことがあるのです。
割高感が強く、示談交渉も無いときては、BAPで保険に入る人が少なかったのも当然ですよね。
自動車保険豆知識
最近は自動車保険の制度が変わり、SAP、PAP、BAPというものを使う保険会社も少数派になってきています。
現在、ほとんどの保険会社の自動車保険は、ある意味BAP的に自分の欲しい保険を組み合わせるようになっています。そして、どの組み合わせを選んでも、TAP、ONE、AIP、MOSTなどといった各社独自の商品名で呼ぶようになっているのです。ちなみに、そのような新しい仕組みを採用している保険会社では、「対物保険だけ加入」という荒技を使えるところもあったりします。
保険会社全社で保険の内容が統一されていた以前と異なり、どの自動車保険もそれぞれ個性があります。自動車保険の選択肢が広がった分、自己責任で選ばなくてはならなくなった訳です。