最後の頼み「政府保障事業」
ひき逃げや、無保険自動車または盗難車などによる事故で、自賠責保険または自賠責共済から保険金の支払を受けられない被害者を救済するために、「政府保障事業」というものが用意されています。政府保障事業は、政府(国土交通省)が自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づいて、被害者救済を目的として損害のてん補を行う制度です。てん補される損害の範囲や限度額は、基本的に自賠責保険の基準と同じですが、いくつか異なる点があります。
自賠責保険と政府保障事業の違い
政府保障事業では、過失相殺の適用が厳密に行われます。つまり被害者に落ち度があれば、受けた損害から、その分が差し引かれて支払われることになります。この点は、被害者に7割以上の過失がない限り、原則として全額が支払われる自賠責保険とは大きく異なります。また政府保障事業では、親族間の事故は補償の対象となりません。さらに社会保険を利用しない場合は、社会保険の利用により給付されるべき金額(3割負担の健康保険であれば残りの7割)が差し引かれてしまいます。一方、自賠責では、自由診療に対しても限度額の範囲内で支払いを受けることができます。
加えて、政府保障事業には、自賠責保険のような仮渡金、内払金の制度がありませんので、当座必要な治療費については、自分で負担しなければなりません。(治療が終わっても、請求してから支払いを受けるまで、半年から1年程度かかるようです)
余談ですが、政府保障事業により、被害者に支払われたてん補金については、政府が全額加害者に求償(つまり取り立て)することになっています。
まずは早めに相談です
ちなみに、事故の翌日から2年(後遺障害は症状固定日の翌日、死亡は死亡日の翌日から2年)で請求権は時効になってしまいますので、まずは早めに相談したほうが良さそうです。請求は、全国の損害保険会社、農協等の窓口で受け付けていますので、必要書類など詳しいことは、窓口で相談してみてください。