運行供用者には責任があります
免許を取ったばかりの未成年者は一般的に資力に乏しく、無保険の車を運転して事故を起こしたとしても、その損害を賠償するのは難しいと思われます。事故の被害者としては、加害者の両親に責任を取ってもらいたいところですが、そもそも加害者の両親は、未成年者である子供が起こした事故について無条件に責任を負うのでしょうか?まずは自賠法(自動車損害賠償保障法)の条文をみてみましょう。
第3条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。 |
これによれば、「自己のために自動車を運行の用に供する者」(以下「運行供用者」といいます)は、人身事故における被害者救済の観点から、事実上の無過失責任を負わされています。したがって、加害者の両親が運行供用者に該当するということであれば、未成年者である子供の監督責任について議論するまでもなく、当事者として責任を負うことになります。
ここで、自動車の運行を支配し、運行による利益を受ける者は運行供用者にあたると解されていますので、車が両親のものであった場合などは、加害者の両親は運行供用者としての責任を免れることはできないでしょう。
また、仮に車の名義が未成年者である子供のものであったとしても、維持費(ガソリン代や保険料等)を両親が負担しているなどの事情があれば、両親は実質的な運行供用者にあたると考えられます。
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