気軽に友達の車を運転してはいけない
運転を交代する前に自動車保険の補償内容の確認を!
ほとんどの人が自動車保険(任意保険)に加入していることから、一義的には心配がない気もしますが、例えば「家族限定特約」や「年齢条件」の制約によって、皆さんが被保険者に含まれていないことも想定されるので、気軽に運転を交代してはいけない可能性もあります。
そこで本稿では、友達の自動車を一時的に運転する場合の補償について紹介します。
友達の車で事故を起こした場合に使える可能性がある保険は3つある
皆さんが友達の車を運転している時に人(第三者)をはねてケガをさせてしまった場合の賠償に使える可能性がある保険は3つ考えられます。1つ目は「自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という。)」です。自賠責保険は法律に基づく強制保険であることと、車検と絡めた仕組みとして加入の確認が行われていることから基本的に友達の車が加入していないということはないと思います。そして、自賠責保険における被保険者とは、被保険自動車の保有者及びその運転者であることから、皆さんも、この保険の補償を受けることができるということになります。
2つ目は「友達が加入している自動車保険(任意保険)」です。自動車保険(任意保険・対人賠償保険)の加入率は73.1%(注1)で、この数値に含まれない共済とあわせると、ほとんどの人が加入していることになります。ただ、先述のとおり、皆さんが被保険者に含まれていないことも想定され、補償を受けることができないこともあり得るので、やや心配です。
3つ目は「皆さん自身が加入している自動車保険(任意保険)」です。一般的に自動車保険の保険料は被保険者の年齢や事故経験(等級)と、被保険車両の車種等によって決まるので、一時的とはいえ、友達の車を運転している時も補償を受けられるとは考えにくいですが、一般的に自動車保険には「他車運転危険補償特約(注2)」という特約が自動付帯されているはずですので、その特約によって補償を受けることができるはずです。
他社運転危険補償特約にはいくつかの制約がある
皆さん自身が自動車を所有していて自動車保険(任意保険)に加入していれば、「他車運転危険補償特約」による補償を受けることができるわけですが、ただ、この特約にはいくつかの制約があります。その1つが「借りた車の種類」に関するものです。保険業界では「自家用8車種」という言葉がよく用いられますが、かかる特約の対象となる車両は、「自家用普通乗用車」「自家用小型乗用車」「自家用軽四輪乗用車」「自家用普通貨物車(最大積載量0.5t超2t以下)」「自家用普通貨物車(最大積載量0.5t以下)」「自家用小型貨物車」「自家用軽四輪貨物車」「特種用途自動車(キャンピング車)」が一般的だと思います。
この他にも、補償を受けることができる条件がありますので、ぜひ一度、友達の車を運転する前に皆さん自身の自動車保険(任意保険)の約款に目を通してみてください。
(注1)日本損害保険協会「日本の損害保険 ファクトブック2013」2013年9月
(注2)損害保険会社各社によって特約の名称は異なる場合がある