■国の厚生年金の一部についても会社の積立不足!
会社がオリジナルにやっている企業年金の部分については運用がうまくいかずに追加負担を余儀なくされてもある意味、やむを得ないところです。この部分については労使で話し合って少し金額を下げてもらうことも可能です。しかし、国の厚生年金に相当する部分についてはそうはいきません。国の制度と同じ金額を社員に保障することが最優先で、足りない分は会社が負担しなくてはいけません。
国の厚生年金の一部に相当する不足分についても、厚生年金基金を実施している企業では会社の積立不足として認識されます。決算上でもオープンにしなければいけないので信用力を損ないますし、何よりも会社の利益を損なう原因になります。
そのため、会社では「国の厚生年金の一部は返却して、会社独自の企業年金部分でシンプルにいこう!」ということになったわけです。この考え方自体は会社として合理的だと思います。余分な負担をかかえて、今のような厳しい時代を乗り越えることは大変だからです。
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……2回に分けて、「代行返上」について社員に及ぼす影響と、会社の思惑、株価に与えた影響を見てきました。社員の側にとっては、代行返上そのものだけでなく、その後に企業年金自体がどのように変化するかをきちんと見極めて欲しいと思います。
時代が大きく変わろうとしている中、ある意味において、厚生年金基金という仕組みは、ひとつの役割を終えようとしているのかもしれないなと私は思います。そして今、代行返上をきっかけに企業年金制度自体が大きく変化しようとしているとも感じます。企業型の401kもそのキーワードのひとつです。また、その受け皿として有力視されているものに「キャッシュ・バランス・プラン」というものもあります。
会社員の将来設計に大きな影響を及ぼす企業年金・退職金制度について、今後もトピックスを提供していきますので、お楽しみに!
→「社員編」で社員に与える「代行返上」の影響をよく確認しておこう!
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