未納で「困る」のは国でも他人でもなく自分自身!
まず、最初に考えたいのは「未納」して困るのは誰か、ということです。ニュースではよく、「年金制度の信頼が損なわれる」とか「まじめに納めている人にしわ寄せが」とか「制度の存続に危険信号」とか言われてますが、実際のところそうなのでしょうか?未納のニュースを見ていると、確かに年金制度に対する信頼感が失われると感じます。また、少ない所得の中からなんとかやりくりして保険料を納めている人からしてみれば、高所得者でもある政治家の方々が保険料を納めていなかったというのは不公平だと感じます。
しかし、自分が納めている保険料は自分が将来自分の年金を受け取る権利を得るためのものだ、ということを忘れてはいけません。誰かのために払っていると同時に、自分のために保険料を払っているのです。「あの人も未納だから私も未納していい」というのは早とちりです。
国民年金を未納したツケがどう自分にはね返ってくるかを考えてみます。国民年金を満額もらうと1年間で794,500円がもらえます(2004年価格)。たかが80万円と思うかもしれませんが、国の年金は死ぬまでずっともらい続けることができます。平均的には65歳の人は男性で18年、女性で23年は長生きします。そうすると、受取総額は男性で1,430万円、女性で1,827万円にもなります。100歳まで長生きできればもっとお得で、なんと2,780万円にもなります。毎月コツコツ納めた保険料で手にする権利というものは実は意外に大きいのです。
ところが、未納期間が15年ある人は496,600円しかもらえないことになります。およそ30万円の差ですが、この1年間の差は生涯つきまとうことになります。30万円の差が23年つくと690万円のもらい損。もっと長生きすればもっと損をします。現在のレートで国民年金保険料を15年納めた金額は239.4万円ですから、かなりお得な権利の買い物なのです。
自分が何年間長生きするかはちょっと分かりませんし、死ぬまで必要なお金をゼロから準備するのは大変です。「未納しない」ということは「自分の年金を受ける権利を買う」ということなのです。老後の定期収入という安心を毎月の保険料で私たちは買っているともいえます。つまり「未納して困るのは国でなく、自分自身」なのです。
[ポイント] |
・未納をして損をするのは他ならぬ自分自身 ・保険料を納めるというのは自分の年金を受ける権利を買うこと |