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わたしが長生きしたくない3つの理由(2ページ目)

老後のお金が不安で長生きしたくない!「支出の不安」「年金収入の不安」「ライフスタイルの不安」3つの理由を考えます。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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年金だけじゃやっていけないから長生きできない?

もちろん1億円を全額自腹で貯める必要はありません。何せ我々は高い年金保険料を毎月引かれているからです。その分、将来には年金がもらえるはず。でも、年金はどれくらいもらえるものなのでしょうか……。不安があってはのんびり長生きできそうにありません。

しかし、意外に年金は頼りになるものだったりします。何より大きいのは、「何歳まで長生きしても国の年金はもらえる」ということです。平均寿命より早く亡くなった場合はそれまでですが、逆に長生きした場合、年金はいつまでももらい続けることができます。90歳まで長生きすれば90歳まで、100歳まで長生きすれば100歳までもらえるのが国の年金なのです。国の年金に関してだけいえば、長生きしても安心です。

さて、年金をどれくらいもらえるものなのか、先ほどのモデルのイメージで、概算してみましょう。65歳から月額18.5万円の厚生年金を夫がもらい、妻が65歳から5.4万円の国民年金をもらったとします。仮に妻が3歳年下とすれば、夫は18年後に亡くなり、妻は遺族年金をもらうことになります。それぞれ社会保険庁の統計から平均的な受給額を参考にしていますが、概算すると合計で6343万円くらいは年金がもらえることになります。インフレ等の影響は加味していませんが、結構大きな金額ですね。

60歳から65歳まで、再雇用で年400万円くらい稼ぐことができれば、合計で8343万円になりますから先ほどの老後の出費(8864.4万円)との差は約500万円くらいになりました。これくらいならなんとか現役時代に貯金しておけそうです。なんとかなりそうな気がしてきます。

とはいえ、やっぱり年金に不安があるのも事実です。それは将来にわたって見直しが行われる可能性が常にあるということです。仮に65歳からもらう年金が67歳や70歳になったらその分計画は大幅に狂います。働き続けることができればなんとかなりますが、そうでなければ数年間の空白は収入ゼロになってしまいます。

また、ここでは収入も支出もインフレを考えずに現在価値で考えましたが、20年以上の計画においては無視できない要素です。特に国の年金はインフレに追随しないことをすでに決めていますので大きな問題となります。マクロ経済スライドというものがそれで、インフレしても年金額は少しだけしか増やさない、あるいは前年と同額を維持することにより、数十年かけて年金の水準を下げるというものです。金額的には下がらないわけですが、インフレするほど年金の価値が下がっていくという仕組みです。毎月の差は1000円にもならないので実感しにくい仕組みです(たとえば本来は毎月1000円年金を増やすべきところを200円だけ増やすというようなイメージです)。計画では25年くらいかけて15%ほど水準を目減りさせたいようです。現在価値で計算するのは正確ではありませんが、900万円くらいのイメージでしょうか。

また、マクロ経済スライド以上の水準引き下げ策が今後行われない保証はありません。国の年金は制度全体を維持していくために、5年に一度見直しを繰り返しており、「制度そのものが破綻することはない」が「少しずつ引き下げが続く」ことはあり得る仕組みになっているからです。

つまり、国の年金にすべて頼ることは不可能です。しかし、1億円自腹で貯めるのはしんどい以上、全く頼らないわけにもいきません。国の年金に頼る距離感は上手に保ちながら自分で自分を守っていく準備をしておくことが重要になっています。今、500万円あれば、なんとかなると試算しましたが、むしろもっと高い目標設定が必要になると考えるべきでしょう。退職金や企業年金に加え、できれば2000万円以上の目標を設定したいところです。

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