「失われた年金」が大騒ぎになった2007年

今年大きな話題となったテーマといえば「失われた年金」でしょう。厚生年金の加入者が約3300万人といわれている中、未統合の年金履歴が約5000万件あったというニュースは多くの国民を驚かせ、社会問題となりました。

しかも未統合のデータのうち、60歳以降の方のデータが2850万件あるというニュースが明らかになるにつれ、国民の不安は否が応でも高まります。さらにたたみかけるかのように、国民からの履歴確認の申し出をいい加減に取り扱っていた事例や、保険料や年金給付の横領事例などが次々報道され、私たちは年金に対する信頼感を大きく損なうこととなってしまったわけです。

こうした年金不信の問題はその後の選挙の趨勢さえ決めるほどのインパクトがあったことは皆さんもご存知のとおりです。そして今もまだその統合作業は進められている、現在進行形の話題となっています。

ところでこうしたニュースを読んでいると「申請主義」という言葉がしょっちゅう出てきます。そして「申請主義は悪い」というニュアンスで使われることがほとんどです。
今回はこの「申請主義」について取り上げてみたいと思います。本当に申請主義は悪なのでしょうか?

申請主義がおかしいというほうがおかしい!?

「失われた年金」問題を論評するとき、必ずといって聞かれるのは「申請主義にあぐらをかく」といったような表現です。国などは申請主義というものに甘えて待ち状態になっていたことが大きな問題であったというわけです。あまりに当たり前のように聞かれる言葉なのですが、これは適当な理解といえるのでしょうか。少し考えてみたいと思います。

申請主義というのは文字通り、国民からの申請を受けることで初めて、行政は給付等を行うという仕組みです。たとえば年金を受けられる年齢になったら、自ら裁定請求書を書き社会保険事務所に提出しなければなりません。もちろん申請をしてこなかった人は給付は受けられません

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