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Mac OS XがVistaより優れている点は?(3ページ目)

Mac OS X をOSの基本機能の集まりとして評価した場合、機能的に見ても Windows より優れているところがたくさんあるのだ。

木下 幹司

執筆者:木下 幹司

Macガイド


半透明処理などの印刷品質

知る人ぞ知るWindowsの最大の問題点は“印刷”である。Windowsは当初からGDIといわれる描画機構を持っていたが、Windows98、Windows2000の世代になるまで透過処理、アルファチャンネルなどをサポートしていなかった。さらに、これらの機能は印刷時には使えず、WindowsXP世代に標準搭載されたGDI+でも、プリンタドライバがサポートしていないため透過PNGなどはそのまま印刷できない。
このため、デベロッパーは表示(GDI+)と印刷(GDI)の異なる制約に別々に対応する必要があり、印刷機能を持つアプリケーションの制作には余計な手間がかかってしまう状態がずっと続いているのだ。
そして、異なる描画機構を使用しているため、同じデータでもアプリケーションやプリンタドライバによって画面と印刷結果が異なるという問題が発生しやすい。

では具体的に、どのような問題点があるか調べてみよう。

以下の印刷サンプルを各OSでWord(Mac版:Word2008、Windows版:Word2007)を使って、おなじプリンタを使用して出力し、その結果を比較する。

●印刷サンプル全体図:(Mac 版 Word 2008での画面表示)
http://pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/6/0/sanple_disp1.jpg
Word 2008の画面表示

テスト用データのポイントは半透明グラフィックと半透明PNGの表示。ドロップシャドウも注目点だ。このデータをMac OS XとWindowsVistaで印刷し、それぞれの結果をスキャナで取得。上記A、B、Cの部分だけ拡大して比較する。

●Mac OS Xの印刷結果
(Canon PIXUS iP3500、プロフォトペーパー、印刷設定「写真をきれいに印刷」)
http://pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/6/0/mac_print_result_sall.jpg
透過処理やドロップシャドウ処理に特に問題は見られない。欲を言えば、もうすこしカラーマッチングが調整されているとよいのだが……
拡大サイズの画像をダウンロード

Mac OS Xの印刷結果は良好だ。画像のかラーマッチングはども良好。半透明やドロップシャドウの部分は吸い込まれそうなほど美しい。

●Windowsの印刷結果
(Canon PIXUS iP3500、プロフォトペーパー、印刷品質「きれい」)
http://pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/6/0/win_print_result_sall.jpg
あらゆる画像のドロップシャドウの部分が、タワシでこすったようにザラザラになっている。白い半透明部分も変だ。塗りつぶしや画像の色合いも全体的にくすんでいる
拡大サイズの画像をダウンロード

…… Windowsで印刷した方は、ドロップシャドウと半透明部分、および色合いの品質に問題があるのがわかるだろうか?
こういう現象が発生するのはアプリケーションの不具合などではなく、画面と同じ描画エンジンが使えないための制約なのだ。

XPSで巻き返しを図るWindowsの印刷、それでもやはりMac OS Xのほうがいい?

これまで紹介したように、Windows環境では透過処理がされたグラフィックの印刷品質などに問題がでる。使用するプリンタによっては、グラデーションや文字の印刷でも問題が出る可能性もあり、Windows環境で印刷する場合には避けられない宿命といえるだろう。

WindowsVista世代になって、これらの問題点はXPSという新しいシステムによって解決される方向に向かっている。

しかし、XPSに標準で対応しているのはWindowsVistaのみ(XPでは「XPS Essentials Pack」をインストールすることで対応)だし、アプリケーション側にもXPS対応*1が必要になってくるため、簡単に解決する問題でもない。マーケットを考えると開発者はGDI+、GDI、XPSと3つの方法で同じ描画を行うようにプログラムしなければならなくなってくるかもしれない。

ちなみに、Postscript形式のプリンタの場合で、Adobeの製品のアプリケーションから印刷する場合などはアプリケーションから直接プリンタにデータを出力して高い印刷品質を確保しているため、あまりOSの違いは出ないようになっている。ただし、それも結局それぞれのアプリケーションが自力で高精度のPostscriptコードを生成して初めて成立するわけで、おなじ見た目のデータでもアプリケーションが異なれば印刷結果が異なる可能性が高いことに変わりはない。

……まあとりあえず、ややこしいことが嫌いならMac OS Xを使ったほうが安定した印刷結果が得られそうだ。

※1:Word2007であれば、「Microsoft Office 2007プログラム用アドイン:Microsoft PDFまたはXPSとして保存」を追加した環境でXPS出力が可能(単純にXPSのプリンタドライバに出力するのとは結果が異なる)

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※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

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