温泉/東北の温泉

蔵王温泉「共同湯」3ヶ所と「高見屋」

日本でも強い酸性泉で玉川温泉に続いて酸性度2位になっている蔵王温泉を紹介する。足元自噴浴槽の川原湯共同湯と上湯、下湯共同湯。PH1.3の強力な源泉を持っている老舗旅館「高見屋」のレポート

執筆者:郡司 勇


蔵王温泉「共同湯」3ヶ所と「高見屋」



日本でも強い酸性泉で玉川温泉に続いて酸性度2位になっている蔵王温泉を紹介する。足元自噴浴槽の川原湯共同湯と上湯、下湯共同湯。PH1.3の強力な源泉を持っている老舗旅館「高見屋」のレポート



 

  1 蔵王温泉  川原湯共同湯  (数回目) 


1. 本日、適温、掛け流し多量好調
2. 国内屈指の足元湧出共同湯 
3. H 36.1 H2S 18.4  Al 298.4 48.1度
4. 新鮮で透明、流れ去る溝で黄色くなる



川原1木肌の美しい共同湯外観
全ての温泉に優劣は無いと言いながら、温泉を評価をするということは、不遜な行為のような気がする。しかし使い方や、湧出状況、泉質や色や匂いなどが特殊で、数多くの温泉を廻っていて、ほんとうに良かったなあ、、、と思える温泉があることは確かである。この蔵王温泉の宝、いや日本の温泉の至宝とも言える共同湯がこの川原湯であろう。100点に限りなく近い温泉である。

川原2裏手は溢れた湯が川になっている
そして今回は湯温、湧出量ともに絶好調の時で、さらに誰も入浴客が居ない幸運に恵まれた。稀なる幸運であろう。足元湧出の源泉浴槽なので、一切加工できないここの湯の温度はいつも高く、加水しないと入浴できない温度である。しかし今回は適温やや熱目ながら微加水であった。

川原3床を溢れる足元湧出浴槽
そして湧出量もいつもよりは多く、共同湯建屋周囲から溢れる、掛け流しの川も大きくなっており、数回訪問したが今回が最高の表現で歓迎してくれた。蔵王温泉の共同湯は大露天風呂を含め4ヶ所あるが、上湯、下湯、川原湯は内湯で瀟洒な木造の建物が良い。特に川原湯は小さな湯小屋で、木の壁は風雪によって茶色に煮締めたような色に風格が増している。

川原4浴槽の底は格子になっている
足元湧出の温泉がすぐ脇から溢れ、周囲は池のような温泉溜りになっていて、そこから硫黄分が析出し始めて黄色い小川になって流れ去っている。素晴らしい存在である。湯は含硫黄鉄・酸性明礬泉(含H、S、Fe―Al-SO4、Cl)でPH1.45の強酸性である。特記成分として水素イオンが36.1mgとFe 89.5mg、Al 298.4mg CO2 387mg H2S 18.4mgである。硫黄泉としても18.4mg含有されているが新鮮なために全く白濁していない、奇麗な透明である。

川原5薄く白濁しているがほぼ透明の湯
そしてあの強力な硫黄の個性が強力な酸に負けて出ていないのが凄い温泉である。さらに主成分の明礬の渋みも水素イオンの酸性度のほうが勝っており、ピリピリとした酸味である。まさに本格的な酸性泉である。奇麗に澄み渡った湯が、意外と隙間の大きな格子の底から湧出して、床に滔々と溢れている。柱や床の木組みがしっかりとした太さで、良く見ると立派に造ってある。安易な造りではない立派な共同湯であった。


蔵王温泉  川原湯共同湯 
山形県山形市蔵王温泉川原43-3
電話. 0236-94-9005(蔵王温泉組合).
入浴料金 200円 
通年
6時~22時
蔵王温泉  川原湯共同湯 


次は上湯共同湯を紹介する 
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