温泉/温泉を楽しもう

今年の温泉ベスト10 <2008年 対談後編>(5ページ目)

今年の温泉ベスト10!日本を代表する温泉研究家、郡司勇(温泉レポート)と、藤田聡(日本の名湯)両ガイドによる、年末恒例の特別対談!互いの温泉観も含め、今年も奥深い対談となりました。温泉好き必見です!

執筆者:郡司 勇

第3位 中山平温泉 丸進別館
丸進1薄白濁した湯、傾いた浴槽
<郡司> CO3 166mg 薄白濁、苦エグ味、土(墨)の香り つるつる最も強し 斜めの浴室健在

中山平温泉は才色兼備の素晴らしい温泉である。つるつるの入浴感触と多量に含有された硫黄分、高温の源泉、渓谷と山の美しい風景。噴気が所々に噴出し温泉情緒を高めている。日本を代表する良い温泉である。丸進別館は小さな宿で最近は土日しか営業していない。宿泊は止めてしまったようだ、残念である。ここの浴室が不思議で、全体に傾いており、ドアが斜めに付いている。湯が溢れると上に向かって流れるような不思議な空間である。

湯は100度の含硫黄芒硝重曹泉(S-Na-HCO3,SO4)で総計1198mgの源泉である。分析値を見て驚いた、以前の記録であった炭酸イオン(CO3)の含有量がさらに増して166mgとなっていた。硫化水素イオン(HS)も32mgと多い。遊離硫化水素(H2S)も1.1mg含有し湯の色は薄白濁している。苦エグ味、墨(土)の香りであった。

入浴するとつるつるの感触を超えてヌルヌルである。中山平で最強のつるつる度であった。匂いが硫黄臭ではなく墨のような匂いで変わり種である。熱い湯が少量掛け流しされていた。
丸進2奥が上がってるように見えるがそちらに排水される
<藤田> ここは本当に素晴らしいですね。猛烈なぬるぬるの温泉は、基本的に透明な湯が多いという先入観があったので、久しぶりに行って、白濁の見た目に反する猛烈なぬるぬる感に、本当にドキモを抜かれました。「日本を代表する良い温泉」とのコメントを頂きましたが、まさにその通りと思います。実は昔行った時に、浴室が斜めになっている事が気になって、温泉に集中出来なかったので、斜めであることを気にしまいと、かなり意識して行ったのですが、圧倒的な湯の良さに気になりませんでした。

第2位 豊平峡温泉 

豊1うろこのようになった内湯の床
<郡司> 析出物が凄い 

北海道の定山渓温泉の近くにある温泉施設。木造2階建ての外壁に丸太を並べて貼り付けたアイヌ風の建築の小さな温泉である。しかし湯が素晴らしく感動的である。52度の食塩重曹泉で総計2613mgの源泉は豊富に湧出し、毎分450リットルの湧出量を誇っている。内湯に3浴槽、大きな露天風呂ともに豊富な掛け流しである。特に凄いのが、内湯の床に析出したうろこ状の析出物である。津軽湯ノ沢温泉のでわの湯や矢立温泉よりも多く厚く析出しており、足が痛いほどである。

遊離炭酸を400.7mg含有し炭酸カルシウムが多量に付いていた。それに比べ大きな庭園露天風呂には石が茶色に変わるくらいの少量の析出物しかない。内湯の床に掛け流される量が多いのであろう。凄い析出物である。生き物のようなうろこの連続で美しい波紋になっていた。

露天風呂はたいへん大きく長く造られ、30m近くの大きさになっていた。大きな岩組の庭園風露天風呂である。湯は微褐色に濁り、エグ味強く、炭酸味もある。 少金気臭で存在感のある湯で良い。源泉からタンクを経由することなく直接掛け流しにしていることを大きく謳っており、新鮮な湯であった。52度という高温ながら炭酸分を残し、味覚に残っているのが素晴らしい。
豊2開放的な露天風呂は緑色に濁っている 
<藤田> 大露天風呂は男性が奇数日ですね。以前は逆側だった記憶なので、前回は奇数日を狙って行きましたが、湯巡りの都合上、夜になってしまったので、また昼間に行きたいと思っています。

ここは、食堂の本格カレーが名物なんですよ。特製ナンといっしょに食べる、北インドのカリー(カレー)は、南インドのスープカレーと違い、日本人にも馴染みのあるトロ味のあるカレー。ナンも本場インド人シェフが石釜で焼いてくれたもので、素晴らしい美味しさです。北海道に行ったら、このカレーを目当てに、道内何処からでも足を運ぶ価値があると断言したいです。こうして説明しながら、ホームページのカリーの写真を見ていたら、ヨダレが出て来てしまいました。(笑)

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