文章:郡司 勇(All About「温泉レポート」旧ガイド)
全国でも貴重な泥湯3ヶ所、別府温泉
全国でも泥湯という入浴形態ののこる温泉は少なく10カ所ほどである。別府温泉には3ヶ所もあり素晴らしい温泉郷である。泥田のような最強の別府保養ランドと野湯である鍋山の湯、白い泥湯で珍しい神丘温泉のレポート
1別府明礬温泉 別府保養ランド
1. 内湯は黒い泥湯
2. 大露天風呂は2ヶ所
3. 黄白濁の泥が露天風呂
真っ白なコロイド湯の内湯浴槽 |
別府で温泉博覧会を縮めてオンパクという温泉祭りのようなイベントを行っている。毎年春と秋に2回あるが、今年は秋から冬にかけてのロングランの1回になった。毎回講師として呼ばれている。今回は温泉めぐりの1日ツアーの講師と夜の講演会の予定である。オンパクの温泉巡り講師は5回目で色の美しい温泉3ヶ所を2回、また鄙びた共同湯3ヶ所、泉質が絶品の温泉3ヶ所などを開催してきた。今回は別府のみ可能と思われる泥湯3ヶ所というテーマで温泉めぐりを行った。
黒い泥の内湯の泥湯 |
大分空港に到着するとあいにくの雨である。しかし私はいつも温泉めぐりが雨でもあまり気にしない。どうせ温泉で濡れるのだから空いてて良いかなあ、というくらいの気持ちで、いつも温泉巡りをしている。しかし今回は別府に近づくにつれて雨が雪に変わり、高速道路の路面もだんだんと白くなってきた。スピードを押えて行ったので、駅前集合に15分ほど遅れてしまった。
浮き上がらないように掴まり棒がある |
14人の参加者はすでに1ヶ所目の別府温泉保養ランドに向かったとのことで、私も追っかけて行く。さて雪の中の保養ランドは空いていてよかった。ほぼ一行の貸切に近い状態で入浴できた。まず入口の近くにあるコロイド湯に入る。真っ白に白濁した硫黄泉である。これは沢水に敷地内各所で噴出している噴気に通して造成した温泉である。
露天風呂は白っぽい泥 |
しかし白濁し、適度な酸味があり、硫黄臭も少ないながらある。立派な硫黄泉になっている。これなら造成泉でも温泉法上では温泉として規定されるのが実感としてわかった。続いて内湯の男女別泥湯である。ここの泥は黒い色で敷地内からこの浴槽に入れている人工的な泥湯である。後生掛温泉などとも同じ方式である。噴気を入れて加温している。
泥が多量にあり塗ってみる |
この浴槽の泥は沈殿しておらず、高密度に攪拌されているので、比重があり体が軽くなる体験ができる。掴まり棒が浴槽内部にあるのもそのためである。粘度もあり泥人形のようになる。以前に比べ黒さが少し弱くなっており、濃い灰色であった。
奥のやや黄色い泥の小さなほうの露天風呂 |
露天風呂は中央に大きな池のような泥湯と出て左側奥にやや小さな泥湯がある。今までは完全な混浴であったが、今回は男女の範囲だけ仕切られていた。入口は隠されているが出ると顔は見えるという趣向である。中央の泥湯は底から足元湧出の温泉で泥もそこから生成されたものである。温度は38度で大きな露天風呂なので湯温は35度くらいのヌル湯になっていた。この湯が分析表のものと思われる。総計2210mgの酸性明礬泉で38度である。H 3.63mg Na 97mg Ca 69.3mg Fe2 149mg Fe3 44.9mg Al 107.3mg(38%)Cl 26.6mg HSO4 167.6mg SO4 1382mgという組成で明礬緑礬系の酸性泉である。硫黄分はほとんど含有されておらずH2S 0.037mgのみであった。
噴気と広いほうの露天風呂 |
コロイド湯は硫黄分多いであろうが、泥湯のほうには硫黄分はほぼ含有されていなかった。この泥はクリーム色で明るい色である。きめの細かい泥でにゅるにゅるして気持ちが良い、しかし泥は減少しており、以前は底に10センチから20センチは堆積していたが、今回確実に少なくなっていた。左側の露天風呂の泥湯は以前は黄色味を帯びたクリーム色で存在感抜群であったが、今回は中央の泥湯と似てきており白っぽいクリーム色であった。黄色味はなく、やや白さが強いだけと観察した。底の泥はこちらは健在で。田圃のような深く沈みこむ感触があり感動的である。しかし貴重な泥なので減少させないように、良く流して上がるようにしたい。泥湯に入ると非常に暖まる。温度が高めでも入れてしまうので長湯は禁物である。
別府明礬温泉 別府保養ランド
別府市明礬5組 紺屋地獄
TEL 0977-66-2221
日帰り料金 大人\1,050/小人\570/幼児\310
午前9時~午後10時(月曜日のみ午後8時まで)
無休
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別府明礬温泉 別府保養ランド
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