3玉川温泉 (再訪) 少泡付き、掛け流し多量
個性の少ない湯であるが、光景が感動的である。大量の湯が小さな浴槽に掛け流しされて床が湯で洪水状態の温泉は全国でも数少なく、湯量が多い温泉といえば真っ先に思いつくのはこの玉川温泉や古遠部温泉である。温度や硫黄の濃さも大地の力を感じるが、一目で大地の力を感じるのは湯量であろう。実際に大きな動力を掛けてしか動かない、大量の水が流れているのは、実感として素晴らしいものである。浴槽の中で温泉の流れに身体が動いてしまう経験をした。この温泉はほんの毎分244リットルであるが41.5度という温度と男女の浴槽2つのみというシンプルな利用法のため完全に使い切っており湯量の豊富さが感覚的にわかるほどに表現されているのである。しかし意図的なもので無く、それがただ温泉の本質である掛け流れているだけであるので感動を伝えるのである。この温泉ではそれが全てであり泉質うんぬんを超えた良さである。
4碇温泉 (再訪) 少泡付き、つるつる
3連続で80点であるがどれも甲乙つけがたい温泉のいとおしみを感じるもので素晴らしい。温泉の個性や使い方を繊細に観察するというのは、これほどまでに面白いものであるし、人格を変えてしまうほど熱中する。そして4つ目の80点もここでつけてしまう。先の山口でも書いたがここの湯の良さは硫黄臭であろう。露天風呂でも充分に感知していたが、最後に源泉に行き直接飲泉するとはっきりしたたまご味であった。甲府の中心部は湯村も含め単純硫黄泉が湧出している。また色が良い、きれいな黄色でレモンジュースのような淡いものであるが純粋な黄色で「美しい色の温泉」という企画があったら、黄色の項で取り上げようと思った。黄色透明、少たまご味、鉱物臭あり、内湯はジェットバスになっているので露天風呂が良い、微細な泡付きによるつるつる感もあり新鮮である。ともに掛け流しになっているのは当然である。今回始めてすしも食べたがうまかった。42度のNa―Cl,HCO3泉で総計1149mgである。
5青木鉱泉 (再訪)
山梨の秘湯では林道の奥にある鉱泉で、以前泊まった御座石鉱泉とこの青木鉱泉が2つ近接している。瀟洒ながら立派な温泉宿であるが、湯の記憶が薄いので再訪した。それは当然で透明、無味、無臭であった。小武川渓谷に沿った林道は91年以来の訪問ながら、まだほとんど健在でところどころ舗装された以外は変わっていない。以前は林道ツーリング趣味の最強のころで、なんと2月の厳冬期にアイスバーンの中訪問した。いまから思うと良く谷底に転落しなかったものだ。軽量な2サイクルのKDXであるから結構無謀なことも出来た。青木と御座石のあとは北精進ヶ滝や甘利山も走破した。その後中央高速をKDX200で走り抜け、真っ白な峠を超えて崖の湯に泊まったりした。朝日旅行会「秘湯を守る会」巡りの最盛期で、たしかスタンプ帖一杯で無料だった記憶である。さて、改めてこの宿に行くと素晴らしく立派な造りで、長年に渡り使おうという気持ちの溢れた手を込めた造りが一瞬にして分かった。太い柱と梁で温泉は別として宿は評価したい。墨書された分析表によると、緑礬泉とあり期待させるものであるが湯は透明、無味、無臭循環であった。