温泉/甲信越の温泉

月岡温泉、出湯、村杉温泉 新潟の湯その5

新潟の北部にある月岡温泉は緑色になる硫黄泉で硫化水素イオン含有量では日本一です。総硫黄では万座に次いで第2位です。

執筆者:郡司 勇


新潟の湯その4の続きです。

5 月岡温泉 熊堂屋 
次の日は朝一番に月岡温泉から始まった。熊堂屋に行くと客とおかみは酒盛りの最中で驚く。さっそく湯を請い入浴する。小さな浴槽で弱いが掛け流しになっているとかなりの熱さである。まあ源泉が50度で夜からずっと掛け流しであるので44度ほどになっているのであろう。

分析表はS32とH1のものがあり昭和32年のものは総計4293 HSが28.4でH2Sが125.8という硫化水素型になっているが、平成元年のものはHS82.1 S2O3 5.7という硫黄型になっている。しかし感触では硫黄型の典型であろう。小さな円形のタイル浴槽で薄緑色透明、たまご味+少塩味、硫黄臭の月岡本来の良い湯である。

6 月岡温泉 広瀬館
若主人の案内で旅館前の源泉を見せてもらう。源泉は自噴でコンクリートの筒が高さ3mほどになっていてうえから高度差で各旅館に配っていると思われる。18等分してありうち2つが休止なので16等分である。源泉では表面に油分がはっきりとわかった。温泉は広瀬館も熊堂屋とほぼ同じ感触であるが同じ源泉量のため加えながら加熱循環している。よって月岡温泉は熊堂屋ほどのちいさな浴槽1つくらいの源泉供給量であるので小さい浴槽ほど良いと思われる。

7 月岡温泉 美人の泉 
2つの源泉を混合しているとのことだが少ないのか広瀬館と同じく加湯しながらさらに強く循環しているため、酸化の具合で濃い黄緑色になっている。すごい色である。黄緑色透明、まったりした塩味+強いたまご味、硫黄臭。「旅」2月号に載せたが緑色の濃さNO1であろうと思う。

8 月岡温泉 泉慶  
月岡一の大旅館の泉慶が別源泉であるというので訪れた。白玉の湯源泉といい44.7度の含硫黄食塩泉で総計4221である。ここまでは共同源泉とほぼ同じであるが湧出量が毎分550リットルと多く硫黄分が濃い。HS 139.4 H2S 31.5 S2O3 2.8 で総硫黄173.9という高濃度である。万座温泉に続き堂々日本第2位である。朝から男湯となる少浴室の露天風呂で使われているのが濃く、大浴室の露天風呂では弱く加水されていると思われる。

外観では個性は少なく透明であるが、ほんのり緑色がやっとわかるもの、しかし味覚に個性が凝縮され塩と硫黄は月岡では最も濃く感じられた。バターのような口中に広がるまったり感がHSのたまご味の濃くなったものであると思われた。硫黄臭はそれほどない。緑色の濃いものに比べるとやや浴感に欠けるので味覚を確かめないとこの実力は判明しないであろう。分析表の掲示も旧源泉のものでこの分析表を出すように勧めてきた。
 
9 真光寺温泉 飲泉所
24.2度の芒硝泉 総計1403 飲泉場の湯を飲んでみるとしっかりした硫酸塩泉の感触で透明、微たまご+硫酸塩泉の苦味、無臭でこれは浴びたくなり速攻で決行した。小さな小屋掛けの飲泉場でNa 427(93%)SO4 731(76%)
 
10 出湯温泉 清廣館 
出湯は華報寺共同湯にずっと以前に入浴したので記憶がほとんど無くなっていた。以前から気になっていた木造3階の古い宿。清廣館に入浴した。独自源泉で小浴室は桧の内湯で大浴室は岩風呂で掛け流しになっている。清澄な湯で透明、無味、無臭であった。
 
11 村杉温泉 薬師の湯  
25.2度の単純Rn泉 54.7ME 総計357の芒硝系である。個性無いかなあと思うが出湯よりもあり透明、少苦味、湯の香ありといったもの。昔の木造の共同湯は改築されていた。あの鄙びた風情は無くなっていて残念。

12 村杉温泉 環翠楼  
杉林の中をアプローチすると点在する宿の建築が現れ純日本的な趣の宿が現れる。特に宴会場の建築は外観、内装とも秀逸である。美人おかみに案内されるが温泉は個性無い。しかし近くの垂れ流し源泉を案内される。分析ではこれが一番放射能があったとのこと。古き良き伝統の温泉宿といった感想。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます