「週刊日本百名山」という週刊誌が1月11日に朝日新聞社より創刊されました。深田久弥の日本百名山を二ヵ所づつ紹介し、毎木曜、50週に渡って発行されます。A4版オールカラーで山の写真をふんだんに取り入れた作り。山の概要、登山ガイド、コースタイム入り登山地図はもろちん、自生する植物の紹介もあります。また周辺のみどころや温泉情報、グルメスポットなどの紹介も盛り込まれています。
創刊号はサービス定価で400円。とりあげられた山は日本で知らない人はいない「富士山」でした。高山植物の花カードも付録についており、思わず買ってしまいました。
ここで「百名山って何?」という方のために、簡単にご説明を。1964年に刊行された深田久弥著「日本百名山」で登場する100コの山のことです。その本で紹介された百山がこの時代に再び注目され、それに登るのが山好きな方の間でのブームにもなっています。毎回一山づつ紹介する「深田久弥の日本百名山」という10分番組(NHK)が放送されたことは記憶に新しいところ。百山すべての登頂を目指して登っている人のことを「百名山ハンター」などと呼んだりすることもあるようです。
「日本百名山」は全国各地にわたって有名どころの山を大方押さえているので「山のことは何も知らない」という方にはとても参考になることは間違いありません。ただこの「百名山」を選んだのはあくまでも深田久弥の個人的所感によるものであって、「はたしてコレが本当に百名山でいいの?」と疑問を投げかける人も多いことも事実。また、深田さん自身も「ひとそれぞれの百名山がある云々」の言葉も残しているようで、著者の気持ちとは裏腹に「百名山」が一人歩きしているといえなくもありません。さらには百名山に登場する山は他の山と比べると、入山者数が肥大し環境が悪化するという事態も発生しました。百名山の荒れた現状を警鐘する「傷だらけの百名山」という著書もあるくらいです。多くの人が訪れる山は、「よりすばらしい山である」とも言えますが、裏を返せば「より山へのダメージも増える」とも言えます。ここが難しいところです。登山を志す人にとって「自然環境との兼ね合い」は大きなテーマなのです。
さて、「週刊日本百名山」。
「百名山」について以上のような賛否両論があることは確かですが、「登山初心者」または「これから山をはじめたい」と考えている方には格好の参考書になることでしょう。雄大な山岳写真を眺めて興味を深め、登山ガイドで山の難易度や登山道、山小屋情報を知る。毎週二山づつ、日本を代表する山々を知ることができるなかなかよい週刊誌だと思います。周辺ガイドや温泉情報なども提供されているので登山が目的でない方にも利用できそうです。書店で見かけたら一度、目にしてみてください。
ただ山のベテランの方は知っている情報がかなりあると思います。コレクションとして買うのならいいかもしれません。それと560円という定価は私はちょっと高いかなと感じます。400円で付録付だった創刊号くらいだと嬉しいのですが。
■関連サイト
週刊日本百名山
傷だらけの百名山
深田久弥の略歴