ユニークな展示方法で上野動物園を抜いた最北動物園　旭山動物園(2ページ目)

冬も楽しめる行動展示

泳ぎ上手というペンギンの知られざる一面を見ることができるような展示施設になっている

寒い地方出身の動物にとっては、故郷を彷彿とさせるシーズンの到来。普段の行動展示を超えた本来の姿に近い生態を目の当たりにすることができるでしょう。しかし旭山動物園に魅力は、最北という立地条件だけではありません。

東京あたりでは夏に氷を与えられて喜んでいる姿が報道されることも多いホッキョクグマ。他の動物園ではプールにドボンと飛び込んだところで見せ場は終わりますが、ここ旭山動物園では違います。雪煙をあげてかけまわる姿、プールの中で体毛を揺らしながら泳ぐ姿などもじっくりと。

陸上をヨチヨチと歩くペンギンは、水中では空中を飛ぶように泳ぎます。旭山動物園のぺんぎん館ではそんな姿もばっちり。

クマのすぐ奥に見えるのがドーム窓。普通では絶対困難な距離から観察できる

これが話題の“行動展示”と呼ばれる見せ方です。のしのしと歩くホッキョクグマを見学するためには半球状のドーム窓を設け、鳥たちを観察するためには人間自らが鳥かご状の施設に入る。ペンギンが二足歩行する姿を本来の50％のパフォーマンスとみるならば、快泳する姿には残りの50％があるわけで、水中トンネルを設けて100％すべてを見られるようにするのが旭山動物園小菅園長のいう“行動展示”なのです。

旭山動物園の人気は、この行動展示という独自の見せ方にあり、というわけです。今や同園の看板となった行動展示。冬期ももちろん魅せてくれます。

オランウータン舎は来年1月から

この冬の見どころは、まだまだあります。

寒さに弱く、これまでは冬は見ることができなかったオランウータンが、来年1月から見学可能に！　暖房完備の新しい放飼場がオープンする予定です。

新放飼場では夏場と同様に、オランウータンが高さ10メートルのほどの場所で空中散歩する勇姿が披露されます。またこの空中放飼場は来場者との距離をぐぐっと狭め、今まで以上にオランウータンの様子を間近で見ることもできます。お楽しみに！

また今冬も正月期間中の特別開園が決定。2005年1月2日から1月5日まで。北海道の地元のみなさんや、帰省や観光で旭川を訪れているみなさんもぜひ行ってみてくださいねー。

冬の旭川は人間にとってはきびしい季節ですが、この気候が大好きな動物たちにとってはベストコンディション。彼らにとっては寒ければ寒いほど、ベストコンディション。すなわち最北の動物園なら環境としてはベストオブベストっつーことです。

この冬も上野動物園あやうし!?　間近に迫った冬期開園が待ち遠しい旭山動物園なのでした。

《旭山動物園DATA》
●住所／旭川市東旭川町倉沼
●地図／Yahoo!地図情報
●アクセス／JR「旭川」駅からバスで約40分
●開園時間／(16年度冬期11/3～3/27まで)11:00～14:00
●休園日／祝日を除く毎週水・木、年末年始
●料金／大人(高校生以上)290円、小人(中学生以下)無料、他
●お問い合わせ／Tel. 0166-36-1104
●HP／旭山動物園

【関連サイト】
◎旭山動物園くらぶ
旭山動物園が大好きというみなさんの作った「旭山くらぶ」の公式ホームページ。

◎北海道新聞「旭山動物園の軌跡」
今年9月、旭山動物園が年間100万人来園を突破したときに北海道新聞が連載した4回記事。

※以上の記事・データは2004年10月の情報を基に書かれています。