ナビで行けない道にこそ、発見がある
長野県大町市の林道小熊黒沢線。木崎湖を見下ろすパラグライダーの離陸地点がある。この道は北アルプスの展望も雄大だ |
ドライブに行くとき、山菜採りやバードウォッチングでもない限り、わざわざ林道を走る人はいないと思う。たいていは急な山道で、舗装されていないことも多く、抜け道に使えることもあんまりない。カーナビなどではルート探索の対象にさえなっていないし、それ以前に表示さえなかったりする。もともと、いわゆる林道というのは林業用や砂防工事用の道路なので、一般車が通ることは想定していないのだ。実際に一般車通行止めの道も多い。
じゃあ走らなきゃいいじゃん、と考えるのが普通かもしれない。
まあそうなんだけど、目的地に行くための手段でなく、その道を走ること自体をドライブと考えたとき、林道って捨てがたい魅力がある。
動植物を間近に見られるのも林道の魅力。シカやタヌキ、ウサギなどに出会うことも多い。さすがにクマは遠慮して欲しいけど |
まず一つは、山肌を縫っていく、大展望が広がる道が多いこと。また、人里を離れた場所を走るため、思わぬところで動物に巡り会ったり、野の花や紅葉の絶景に出会ったりすること。自然の好きな人なら、柵に囲まれた自然公園なんかよりもずっと楽しい場所になるはずだ。場所によっては、林道脇の崖から水晶や化石が採集できるところもある(崩しちゃいけないから書けないけど)。
いや、ひょっとすると一番の魅力は、それ以上に「先が見えないこと」なのだ。カーナビが役に立たず、地図に書き込まれた細い道や数少ない道標を頼りに走ったり、どこへ通じてるか分からないまま「行けるとこまで行ってみる」なんて、いまどき一般道じゃあり得ない。それを不安と思うより、探検気分として楽しめる人には絶対おすすめなんだ。