台湾のテレビ番組で、大スペクタクル人形劇をご覧になったことがありますか? エコーのかかったセリフ、CGを使った攻撃技、派手なアクション、言葉がわからなくても見始めるとはまってしまいます。この人形劇は台湾の「布袋戲」。【前編】で布袋戲の木偶(人形)の紹介をしたので、この後編では布袋戲を見ながら食事ができるお店の紹介をします。台湾の伝統芸能を身近に感じてみてください。
⇒台湾の伝統芸能「布袋戲」の魅力に迫る!【前編】
⇒布袋戲の由来、歴史など簡単な説明は、こちらをご覧下さい。
⇒利用しやすい布袋戲が見られる場所、または布袋戲の木偶が買える店は次ページに。
叙舊茶飯館
布袋戲を見ながら食事もできるお店 |
ミニ・ショーは、三部構成です。(1)台湾布袋戲偶の紹介、(2)ミニ・ショー、(3)体験の時間(観客が舞台に立って、実際に木偶を動かしてみる) となっています。ミニ・ショーは基本的に北京語かミン南語(台湾語)なので、前日までに予約して日本語通訳をつけてもらうことも可能です。また、事前予約が好ましいのですが、当日でも空席があれば入れます(この場合は日本語通訳はつきません)。
(注:日曜日は観客が6名以上なら土曜日と同じ三部構成のミニ・ショーですが、6名未満なら多少の変更があるそうです)
(1)まずは布袋戲の伝統掌中戲、つまり昔ながらのてのひらサイズの木偶の紹介からスタート。各テーブルにある手のひらサイズの木偶を使って遊んでみます。
手につけて、歩く、おじぎ、走る、ジャンプ(空中に放り投げてまた手にはめる高度な技)などを教わりながら遊びます。簡単そうで難しいのが歩き方と走り方。基本動作こそが難しい!
次は、店のオーナー・陳さんと、彼の元で布袋戲を学ぶ生徒さん達による木偶の紹介です。テレビや映画で使われる現代の木偶は片手で持ち上げるにはかなりの重さがありますが、非常に見栄えがします。
もともとは手袋型で手のひらサイズだった人形を使っていましたが、今では大型の木偶を使う布袋戲が人気(詳細は【前編】をご覧ください)。金光や大型のテレビ番組用の木偶の大きさや顔つき、衣装などを説明してくれます。(画像中心がオーナーの陳さん)
(2)この日の演目は「馴獅記」。獅子をいかに懐柔するか、がテーマのストーリー。7種の役どころ、「生」「旦」「淨」「末」「丑」「雑」「獣」が総出演で、ストーリーが進みます。「丑」「雑」の漫才のような掛け合いからスタート、荒くれの獅子が「雑」に悪さをし、獅子が宙を舞って暴れます。そこで「末」が「生」に智慧を授け、「生」が獅子を捕らえに行くことになり、「生」と「旦」がアツいキスをし、「淨」が邪魔をし、最後に獅子もおとなしくなってめでたし、という流れでした。
演じられるストーリーは、中国の故事、台湾の土着の物語が多く、ミン南語(台湾語)で韻を踏んだセリフで台本にするそうです。聞き取れなくても、木偶の動きやセリフ回しを楽しんでみてください。
(3)最後は体験です。観客が舞台に立って大きな木偶を扱ってみます。(1)で遊んだてのひらサイズの木偶と違って四苦八苦しながら。陳さんに教えてもらい、生徒さんにサポートしてもらって。この日の観客だったご夫婦が、ヒーローとヒロインの木偶を動かしていました。
他で触る機会も少ないので貴重な体験を嬉しく思う人も多いそうです。ひとしきり遊んだらミニ・ショーはおしまいです。
ショーが終わればオーナーの陳さんが地元の生徒さんたちに布袋戲をてほどき。そんな陳さんに話を伺いました。
「布袋戲は昔ながらの人形劇ですが、1970年代にテレビ番組の技法をうまく組み合わせて大ヒットしました。布袋戲が改めて脚光を浴びたんです。剣客&歴史的なストーリーが受け、それに特撮を駆使して今でも人気です。伝統的な布袋戲とは離れていますが、若いファンを獲得しています。とはいえ、台湾の伝統芸能ともいえる布袋戲を専門的に学べる学校があるわけではないんです。劇団に入って直接学ぶしか道がありません。そこで私が布袋戲のプロモーション的場所としてこの店を提供しているんですよ。興味があればここに来て、身近に体験してください。ここで一緒に勉強して、アマチュアの布袋戲ファンにも出演のチャンスを作っています」--とのことでした。