台湾/台湾の観光

伝統芸能「布袋戲」の魅力に迫る【前編】

ぽてひ。これは台湾の人形劇「布袋戲」のこと。台湾の伝統的な民間芸能、台湾が誇る布袋戲を前編と後編で紹介。前編では人形の役どころを、後編では身近に布袋戲を体験できるお店の紹介をします。

執筆者:阿多 静香


台湾のテレビ番組で、大スペクタクル人形劇をご覧になったことがありますか? エコーのかかったセリフ、CGを使った攻撃技、派手なアクション、言葉がわからなくても見始めるとはまってしまいます。この人形劇は台湾の「布袋戲」というものです。以前、「台湾指人形劇<布袋戲:ぽてひ>を楽しむためにーー”ぽてひ”を知る」という記事で簡単に紹介したことがありますが、今回は前編で布袋戲の人形(木偶)とその役どころの紹介をし、後編でこの布袋戲を見ながら食事ができるお店の紹介をします。台湾が誇る伝統芸能をお楽しみください。

⇒布袋戲の由来、歴史など簡単な説明は、こちらをご覧下さい。

⇒伝統芸能「布袋戲」の魅力に迫る【後編】はこちら

布袋戲の人形(木偶)について
(左)昔ながらの木偶・(右)現代の木偶
布袋戲を鑑賞するとき、各木偶の役どころをおさえておけば、ミン南語(台湾語)で展開されるストーリーの把握にも少し役立つことでしょう。

木偶に喜怒哀楽を吹き込んでストーリーを展開させていくわけですが、物語の内容はさまざま。台湾に土着している勧善懲悪や任侠、説教風な話、日本統治時代の話にくわえ、風刺などもミックスされています。わかりやすい勧善懲悪ものには派手な演出も加わって、テレビの布袋戲チャンネル「霹靂チャンネル」今でも人気があります。

 

さて、布袋戲の木偶の操り方です。木偶の頭部に人差し指を入れて頭を動かします。難しいのが中指、薬指、小指で巧みに動かさねばならない木偶の手。画像がわかりにくくてすみません。太い針金の先にも木偶の手がついていて、この太い針金を指で巧みにさばいて動作に表情を出します。これだけでも手がつりそうで大変、マスターするには時間が必要とのことです。親指はそのまま木偶の手に入れて、外側についている棒で動かします。

さらに大変なのは、人形師は木偶を操りながらセリフを言わねばならないところ。一人で二体の木偶を操ることも普通で、声色や表現を変えて歌を歌ったり踊ったり。とにかく人形師は体力だけでなく、演技力が非常にポイントになるため、小さい頃からの稽古が必要ですが、大人になってからマスターしている人もいます。


現代の木偶は高さが30センチほどある上に衣装も凝っているので本当に重たいのです。これを操りながら、舞台裏を激しく動くことになります。木偶は大きさで大別して2種類。(1)伝統掌中戲偶、(2)金光布袋戲偶に分けられます。

(1)伝統掌中戲偶:高さは高くて30cmほど。300年以上前からある伝統的な木偶です。頭部が木製で、衣装が2枚重ねのものは、空中に放り投げて回転させたりできる昔ながらのもの。もう一つは頭部がプラスチック製で衣装は1枚だけ、こちらは簡単に遊べる造りになっています。
(2)金光布袋戲偶:高さが45cmを超えているもの。75cm、100cmなど高さはさまざまです。こちらはテレビや映画でよく見る、現代風の衣装や顔つきの木偶で、最近の人はこちらの方が馴染みがあるようです。


こちらは昔ながらの木偶です。手のひらサイズで、指人形と同じように動かします。頭部が木製の方が、バランスがとれて扱いやすいとか。プラスチック製の頭部も気軽に扱えるということで売られていますが、顔の絵付けなどからみても木製の方がホンモノ感がありますし、落としても壊れにくいのが木製の頭部です。300元前後で廉価なものも夜市や専門店で売られているので、気軽に遊べるのがこの昔ながらの木偶です。


布袋戲の劇団について
次は、布袋戲の劇団の紹介を簡単にしておきます。台湾北部では小規模な劇団が中心に活動しています。代表的なところでは、「亦宛然」や「小西園」です。「亦宛然」は海外に弟子も多く、日本の弟子には「己宛然」という名前が与えられています。廟や文化施設の催しで上演することが多いので、チャンスがあれば観劇可能です。

台湾中南部では、金光布袋戲偶を使う劇団が多く、「五洲園」が有名です。この劇団は、99歳で行政院文化奬を受賞した創設者の黄海岱さんをはじめ、テレビ番組で布袋戲をスタートさせた黄俊雄さん、三代目で霹靂ブームの仕掛人と言われる黄文擇さんがいる代表的な劇団なのです。

では、次のページで木偶の役どころを説明します。


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