台湾の朝。公園の様子はもう見たから、他のことを知りたいなあと思ったら、「鳥かごを持った人」を探してみましょう。散歩がてらに緑の多い場所をうろうろすると、きっと出会うのが鳥かごをもった男性のお年寄りです。公園や街路樹が生い茂った場所なんかへ行くと、遭遇できると思います(今回は、台北市仁愛路で撮影。復興南路から建国南路を目指して行くと、その途中に木と木の間に黒いひもが張られている場所があります。仁愛路は東から西への、非常に幅広の一方通行道路で、街路樹が鬱そうと茂っているし、住宅街からすぐなので鳥自慢が集まる場所になっています)。
そもそも、鳥の鳴き声を愛でる習慣は中国大陸のものでした。が、戦後、中華人民共和国から台湾へ入ってきた人たち(外省人ともいいます)が今では年をとり、かつての習慣を台湾で満喫しているのです。
もちろん、台湾の人(本省人)のお年寄りも同様の趣味を楽しむ方もいます。
鳥かごを持って鳴かせ自慢にくるのがお年寄りに多いのは、時間とお金に余裕ができて、仕事や家族の心配事からもどうにか開放されたとなると、やはりそれ相応に年齢を重ねた方になってしまうようです。一般的にペットとして鳥を飼っている人も多いのですが、鳴かせ自慢に朝早くからやってくるのは、お年寄りもしくは壮年の男性ばかりです。
ご自慢の小鳥を籠に入れて、しかも籠は一つには納まらず、多くの人が複数の籠を携えてきます。左下の画像、コンパクトにまとめて、しかし4つのかごがあったりします。
小鳥の鳴き声や姿を、見せ合っては品評したり”うちの子”自慢をしたり。鳥かごを持ったお年寄りがわらわらと集まってきて、籠をぐるぐるまわして鳥をしっかりさせて鳴かせたりする様子は、日本ではなかなかお目にかかれませんね。
また、味のある竹製の鳥かごは、使い込めばきれいなアメ色に艶がでてきて、若者にはまだまだたどり着けない領域なんだなと感じられます。実は、中の小鳥だけでなく、この鳥かごや水差しも自慢の対象なんです。鳥かごの彫刻の見事さや造りのよさ、水差しの磁器の絵付けなどがチェックポイントです。
悪天候以外はほとんど毎朝の日課になっているそうですが、毎日自慢しても何か変化があるの? と尋ねてみると、「毎日鳴き声が違うし姿も違う。それに1回に持ってこられる鳥かごの数は3個か4個だから、毎回取り替えていろんな鳥を連れてきているんだ」と写真のおじいさん。家にはたくさんの鳥がいるそうです(具体的な数を教えてくれないのが、台湾流かも)。
近くにいって小鳥を見せてもらったら、鳥かごや水差しにも注目して感想を伝えると交流ができますよ。言葉が通じなくても、よいなあと感じている表情は伝わると思います。
鳥は買えないけどこんなステキな鳥かごならほしいという方は、台北市の和平西路へGO。最寄り駅はMRT(捷運)龍山寺駅和平西路三段沿いに、鳥や鳥かごを売る店が集中しています。{舟孟}{舟甲}大道から昆明街の間の和平西路三段を歩いてみてください。ただし、安いものを見つけるのは大変かも。値段や品質に開きがあるので、十分に納得してからの購入をお勧めします。値段の目安ですが、数百元~数万元といったところで、カード利用不可がほとんど。また、水差しがセットではなく別売りのことも多いので、ご注意ください。「新鳥荘」や「大豐鳥園」などが探しやすい店です。