同館では、2003年3月2日(日)から4月11日(金)まで、台湾映画大特集「台湾宣言」をテーマに、【第一部:侯孝賢監督とスター俳優】、【第二部:俳優・李康生と都市・台北】の2部構成で台湾映画を集中的に上映している。今回の台湾映画特集は、1999年の台湾大地震のチャリティ上映に続いて第2回目の特集で、キネカ大森の村野奈穂美さんが企画、そして上映にこぎつけたもの。今回の台湾映画大特集の仕掛け人、村野さんに台湾映画の魅力などを伺ってみた。
村野さんは、プライベートでもアジア映画の大ファンだそうで、特に香港映画においては、映画のロケ地を訪ね歩き、同館の一画に写真とマップを詳細に展示しているほど(写真は台湾映画の解説)。ただ、アジア映画の中でも香港映画は比較的日本でも上映機会が多く、香港スターのファン層も広いため、香港以外の映画もどうにか上映したいとずっと考えていた村野さん。かといって韓国映画の上映も最近日本でよく行われるため、かねてより着目していた台湾映画の特集を企画されたのだ。これまで、集客の面などの問題でなかなか上映する機会がなかったが、村野さんが頑張って今回の特集にやっとこぎつけたのだとか。
【第一部:侯孝賢監督とスター俳優】--日本では同館での上映を最後に、今後日本では見られなくなってしまう侯孝賢監督の作品「ステキな彼女」「風が踊る」「ナイルの娘」の3本と、台湾人にとっての日本を考えさせられる作品「多桑/父さん」の計4本は残念ながら上映期間はすでに終了している。が、【第二部:俳優・李康生と都市・台北】--「Hole」「ふたつの時、ふたりの時間」「台北ソリチュード」が順次上映される(「愛情萬歳」「河」は上演終了)。連日19:40からのレイトショー公開となっている。
「台湾映画は、繊細だと感じます。おもしろさを一言では言えないんです」と村野さん。香港や韓国の映画などは、出演しているスターで見たりカルチャーショックがあったりなど、演出やわかりやすさで人気が出てきた作品が多い。が、台湾映画は歴史的背景を知らないと理解しにくかったりとちょっとわかりにくいこともあり、少しでも理解に役立てるようにと、村野さんが作った映画紹介や資料などを壁一面に展示しているのがファンだけでなく、台湾映画ビギナーズも嬉しいサービスだ。
アジア映画専門館というだけに、売店での商品の品揃えも凝っている。「Taipei Walker(台北で発行されている月刊の情報誌)」、これまで日本で上映された台湾映画のパンフレット(他では入手が難しい)、DVD、ビデオ、写真集といったアジア映画に関するレアなグッズを揃えているのも同館の特徴だ。
また、劇場入り口では侯孝賢監督がてがけた台湾のキリンビールのテレビCMもテレビモニターで特別上演している。1996年より台湾のキリンビールCMを撮影し続けているのが侯孝賢監督で、台湾でのみ放送されていたもの。監督・脚本家の呉念眞が出演している。
こうした映画などの特集は、東京か地方都市くらいなので、「東京・大森まで足を運ぶことができない方々にとっては本当に残念で仕方がありません」と村野さん。しかし、今後も台湾映画の上映を続けていく予定だそうなので、いつかは台湾映画を見られる機会があると思う。そんな村野さんが今注目している台湾映画は「台北晩9朝5」という、台北のクラブに集まる若者を描いた作品で、俳優の戴立忍が気になっているとか。次回はこの映画がキネカ大森で見られるといいなあ、と思った。
上映期間残りわずか、是非とも足を運んで台湾映画に接するこの機会をお見逃しなく!
そして、これからのキネカ大森での上映作品にも注目あれ。
●料金:1000円均一(連日19:40よりレイトショー)
出演:鳳飛飛 鐘鎮濤
(1980/1h29)
出演:鳳飛飛 鐘鎮濤 梅芳
(1981/1h32)
出演:楊林 高捷 李天祿
(1987/1h32)
監督:呉念眞
出演:蔡振南 蔡秋鳳
(1994/2h24)
監督:蔡明亮
出演:楊貴媚 陳昭榮
(1994/1h57)
出演:苗天 陸筱琳
(1997/1h55)
監督:蔡明亮
出演:楊貴媚 苗天
(1998/1h33)
監督:蔡明亮
出演:陳湘{王其} 葉童
(2001/1h56)
監督:林正盛
出演:陳湘{王其} 載立忍
(1997/1h58)
10:30~(モーニングショー)
料金:一般1800円、学生1500円 、会員・シニア・水曜1000円
出演:金城武 ケリー・チャン
(2000/1h47)
一般・学生:1300円、会員・水曜・シニア1000円
http://kineca.m78.com/
東京都品川区南大井 6-27-25
西友大森店5F
(JR京浜東北線大森駅下車、徒歩約3分)
TEL:03-3762-6000
FAX:03-5764-5084
e-mail:theatre@kiwi.ne.jp
座席数:1号館168席/2号館82席/3号館52席
車で行かれる方は西友の駐車場の利用を。キネカ大森で映画をご覧の方は、4時間無料で利用可能。車高2mまでOK。
その他、台湾映画を定期的に上映している場所
<日華資料センター>
毎月最終土曜日17時から(時間変更もあり)の台湾映画上映会では過去から現代までの様々な映画作品を上映(映画は中国語で日本語吹替なし)。参加希望者は事前に連絡のこと。
ビデオや書籍の貸し出しにも対応している。
http://www.roc-taiwan.or.jp/data/index.html