梁立さん。ピカソの絵に出てきそうなほどの瞳。台北生まれの彼女は、今年28歳。これまでは台湾を中心に時代劇や連続ドラマに出演する女優、そして歌手でもあったが、今年、日本での歌手デビューを果たした。
なぜ日本でデビューなのか、その鍵は彼女のおばあさまにあるようだ。梁立さんは、流暢な日本語を話す。彼女のおばあさまが、日本統治時代に覚えた日本語を操る聡明な方で、梁立さんは子供時代にすでにいろんな日本の唱歌を歌えたそうだ。よく歌ってくれたのが「あめふり(北原白秋作詞、中山晋平作曲)」。おばあさまに叱られる時も日本語。そんな環境で育ったことが、日本を留学先に選んだ一番の理由。高校時代を南アフリカの学校で過ごしたものの、それから日本で大学生、大学院生生活を送っている。
大学生の時、台湾の有名な映画監督、エドワード・ヤンが日本の京都を訪れた際に通訳として手伝った。このとき、映画監督の林海象氏にスカウトされ、1994年林監督の映画「海ほうずき」に出演、これが日本での女優デビューのきっかけとなる(芸歴参照)。
ちなみに、冒頭の「人魚」のプロモーションビデオは林監督が撮影している。京都、奈良を舞台に、どこか切なさの漂う映像だ。この後、学校へ通う傍ら、劇団に入って、ボイストレーニングを重ね、自分を表現する練習を積んだ。
そもそも梁立さん、子供のときから、声を出して自分を表現することが大好きで、小学校の朗読大会に出場しては、台湾内でもトップの成績をおさめるほどの表現上手。そんな彼女が大人になった今、歌手として表現しようとしているものは、自分の心そのもの。彼女は、表現方法として、詩を書くこと、声をだして歌うことを選択した。
自分の「詩の世界」を大切にし、また、これを理解してくれる人々も大切にしていきたい」と語る彼女、その表現の手段として北京語を使っている。もちろん、台湾語や日本語、英語も流暢に話せるのだが、感情をストレートに表現できる言葉としては北京語が最適とのこと。だから、日本でCDをリリースしても歌詞は北京語のまま。「私の”世界”を聞いて、少しでもリラックスしてもらえると嬉しい。聞く人を心地よくするのが、私の声の特徴でもあるんです」と、その笑顔だけでも人をくつろがせる魅力がある。
梁立(リャン・リー Ryan Rie)
台湾・台北生まれ。 2002年2月22日、日本でのデビューアルバム「FREEDOM AND SOLITUDE」をリリース。プロフィール、芸歴の詳細はこちら。 今後の活動予定はこちら。 |