華僑。中国から外国に移り、そこで生活の基盤を築いた人たち。ミャンマーにも多くの華僑がおり、その華僑たちが台湾に住む親族を頼って多くのミャンマー人華僑が来ています。台北市の周辺にも多く住み、中でも台北市の隣にある中和市に集中しています。ミャンマー人華僑が住む地域には数軒のミャンマー料理&雲南料理の店があり、台湾の人や台湾在住の日本人の間に、隠れたファンも多いのです。今回はこのミャンマー人街を散策してみました。
MRT(捷運:地下鉄)中和線終点・始発駅の「南勢角」が便利で、台北車站から約20分。隣の市とはいえ、近い場所です。駅の4番出口を出て興南路に沿って歩き、南勢派出所をめざします。ここまで徒歩9分ほど。その先に「華新街」という通りがあり、その通り沿いに数軒あります。駅から徒歩10分強で着きます。
店の看板には、見なれない丸っこいウネウネ文字が。店はオープンカフェスタイルで、時間をもてあますミャンマー人華僑や雲南華僑、タイ人華僑のおじいさんやおじさんがたむろしています。他所者は入りにくい雰囲気ですが、大丈夫。珍しがられるだけで、敬遠はされません。好奇の目で観察しながら、最後には黙っていられずに話しかけてきますよ。ただし、どこでも同じですが、スリには注意してください。
メニューも北京語とミャンマー文字の2種類。北京語は通じるには通じますが、漢字のメニューを指差すのが無難です。誰もが勧めてくれるのが、カレーとモヒンガー(麺)。カレーは辛すぎずしょっぱすぎず。タイやインドなどのカレーとひと味違います。コクがあってじんわりと辛く、しかし香辛料きつくありません。魚やエビといった海鮮の材料の他に、牛肉、豚肉、とり肉があります。いずれも白飯、きゅうり(生)、ガッピィ(辛いエビなどのペースト)がついてNT$70くらい。手頃で満足できます。それからモヒンガー(麺)。ココナッツオイルをふんだんに使った炒め麺や魚のスープの麺のことで、懐かしいような味わいです(麺はNT$40位・写真は金山麺)。
さて、味の濃いものを食べた後は、甘いもので口直しといきましょう。こういった店のメニューには、必ず「印度{火考}餅」、「千層餅(デニッシュのようなパン)」といったメニューを見かけます。これは、石の釜でぱりっと焼き上げた小麦粉の皮に、バターと蜜を塗っただけのパンケーキです。これに合わせると最高なのが、ミルクティー({女乃}茶)。暑い地域にぴったりの甘ったるさです。ちなみに、名前に付いている印度の意味はインド風ということで、ミャンマー人華僑の間に昔から伝わるおやつだそうです。
食後、腹ごなしにこの華新街を歩いてみましょう。タイからの輸入食品や雑貨、CDやビデオが売られていて、台湾にいるとは思えない感覚を受けます。それから、ミャンマーの葉巻き。これがまたいい香りなんです。ビンロウの食べ方もミャンマー式。はさむのが香辛料なので、台湾のビンロウとは違って南国の料理の味がします。注:ビンロウは別の機会に紹介します。
台湾で中華料理や西洋料理に飽きたら、ここで別のアジアに触れてみるのも斬新でおもしろい体験です。2001年4月8日には、タイやミャンマーなどの祭「Songkran(水かけ祭)」がこの華新街で開かれます。びしょぬれになることを覚悟して、足をのばしてみるのもよいでしょう。
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