文章 : 岩野 睦(All About Japan「香港」前ガイド)
98年7月まで香港の空港、旧香港啓徳国際空港は九龍地区より約4kmの地点にあった。着陸する飛行機は、交差点の真上を横切り、部屋が丸見えのマンションよりも低い高度で数十秒間飛んだ。挙句の果てには滑走路が見えているのにカーブをしながら写真の建物の上をスレスレに飛び、すぐに着地するという、(無謀な?)着地方法、通称「香港アプローチ」が行われていた。
特に夜の、百万ドルの夜景を空から眺めながら光の海に着地する旧空港へのスリリングな着陸が香港の第一印象として強烈に焼きついている方も多いと想像する。そんな旧空港も新空港(香港国際空港)が出来てから、近況を知る人々はここ香港でも少ない。旧空港はどうなった?という疑問にお答えすべく、今回は旧空港のその後を取材してきた。
旧空港は、最近ではグルメ街として有名になっている九龍城地区に隣接している。空港が移転してからの街並みはさほど変わらない。しかし空港の利用客に向けた広告が撤去されているせいか少しさびしく感じる。旧空港ターミナルビルに近づくと、変化のスピードが速い香港にしては珍しく、閉鎖後も外観は、ほぼそのまま。管制塔まで残っている。
現在、この旅客ターミナルは香港政府の啓徳ビルとなっており、政府の事務部署などが入居している。チェックインカウンターのあった2階は、なんと、奇抜な商業娯楽施設になっているのだ。
まず、目に付くのは世界最大の室内ゴーカート場Karting Mall。本格的なゴーカートレースが楽しめ、10歳以上であれば免許なしで体験することが出来る。体験しない方でもレストランの利用、およびレース見学は可能。(次ページへ続く)