文章 : 岩野 睦(All About Japan「香港」前ガイド)
香港での結婚披露宴出席は、招待状を渡された時点から、日本のものと相当違いがあることを予感させてくれる。赤地に金文字という色彩の招待状、なかに入っているのは招待状の他に既婚者だけが配る風習がある「礼是(ライシー)」というお年玉、そして結婚式でケーキが振舞われないこともあって永遠使用可能とされるケーキギフト券「餅券」が同封されている。この度、僕も晴れて同僚でもある友人の結婚式に招待されたのである。
余談だが、香港の某ケーキ店に経営不振説が流れたとたん、その店の前にはギフト券を使用するために長蛇の列が出来、一度にデコレーションケーキを10個単位で引き換えようとする市民が大騒動を引き起こしたことが数年前にあった。それくらい、このケーキのギフト券は大抵の香港人家庭の引き出しに何枚も眠っているほど一般的なのである。
話は戻して、まず、披露宴の詳細の前に香港の結婚について簡単に紹介したい。香港の入籍は日本と方法が異なる。まず入籍しようというカップルは、結婚登記所という役所に2週間、自分たち自身の名前を掲示板に公示し、他人からの異議申し立てがなかったことが証明された時点で可能となる。他人が異議を申し立てることが可能な結婚制度というのも、びっくりではないだろうか。その関係で入籍をするには、役所に予約を入れなければならないのも日本とは違う点である。つまり、予約には定員があるわけで縁起の良い日に結婚するためには周到な準備が必要なことを意味する。
また、夫婦別姓、同姓、あるいはお互いの姓と姓を、合体させた姓を名乗る選択も可能となっている。この入籍から結婚前夜・および当日までの流れは今回、扱わないが、近いうちに必ずCloseUpで取材したいと考えている。これはそのときまでのお楽しみ!
誰からも異議申し立てがなく、晴れて夫婦となった二人の結婚披露宴は、一般的には中華料理店を貸しきって行われる。通常、既婚者は家族揃って招かれるので、出席者は200人を超え、大規模なものであると500人あるいは1000人なんていうものもある。そんな出席者は各自、前もってご祝儀を用意するのは日本と共通。ただ、日本と違うのはそれを特別な小切手で用意するという点である。
この小切手を香港では「礼券(ライギュン)」といい、香港内全ての銀行で誰でも購入することが可能である。右の写真が一般的な礼券である。さあ、気になるのはご祝儀の相場。友人として参加する場合は500香港ドルから1000香港ドル(8千円から1万5千円)程度と日本の相場よりも安い。ただ、親族の場合は新婦が幸せになれるようにという願いをこめて、金やヒスイなどの宝飾類をそれに加えて贈る風習があるので日本よりも高くつくことが多いようだ。
今回はここまで。次回のCloseUpはいよいよ香港の結婚式をガイド自身が出席した報告をお届けする予定である。お楽しみに!
関連リンク:香港式結婚披露宴 出席報告 後編
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