120km先の町灯りが見える場所
150キロ先の夕立が見える!
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ウーメラを離れ、ようやく次の町の灯りが見えてきたのは、走り始めてから約425kmを過ぎた辺り。もうかれこれ5時間も走り続けている。灯りは“すぐそこ”のように見えるが、目指す町まで実際の距離はまだ120kmもある。
なんせウーメラ~クーバー・ピディ間の370km、日本に置き換えれば東京~名古屋間に匹敵する距離に、町はひとつもないのだから。こんな風に100km以上も先の町灯りを見ることができる場所なんて、地球上探したってそう簡単には見つからないはずだ。
行けども行けども、とことん何もなく、人っ子一人出くわすことのないアウトバックでは、ちょっとした文明の灯火が異常なほど恋しくなってしまうもの。そんな中、突如として現れる町クーバー・ピディ。この町の灯りがどんどんと近づいてきて、「ああ、ここには人がいるんだ」と本当に心の底から安堵する。
ん、いや待てよ。この町に住んでいるのは人間?それとも地底人??…んなことはどうでもいい。何しろようやく“人”の気配を感じられたのだから。
まさに、エルドラド!世界有数の宝石に抱かれた町
家らしきものは見えないクーバー・ピディの町
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一夜明けて、辺りが陽の光で照らされだすと、普通の町とは何かが違うことに気付く。人が住んでいるはずなのに、その姿をほとんど見かけない。しかも町中の道路は、町の入口から少し下がったところに作られている。山ではないのに、坂道を下るような感じになっているのだ。そう、まるで地下にでも入っていくみたいに。
町全体を上から一望できるところに立ち、この町の全貌を眺めてみることに。砂山状に盛り上がった低めの岩山がいくつもでき、まるで巨大な蟻の巣を連想させる。その岩肌ににょきにょきと煙突のようなものが突き出しているのが見える。
周囲を見渡せば、これまた相変わらず360度何もない荒野が広がっているだけ。こんな文明社会から隔絶されたような辺鄙なところに町ができた理由は唯ひとつ。ここは世界一のオパール産出地だからだ!宝石用オパール産出世界一のオーストラリアにおいて、ここクーバー・ピディが最大の産出量を誇る。
オパール鉱脈を見つければ、たちまちのうちに大金持ちになれる!オパール採掘を目当てに人々が集まり、やがて町となった。クーバー・ピディは、そんな一攫千金を目論む一発野郎達にとって、まさにエルドラドだったのである。
クーバー・ピディはオパール産出量世界一!
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注意)「クーバー・ピディ/Coober Pedy」は、日本語では「クーバー・ペディ」と表記される場合もあるようです。