禁欲する日本人コメディアン
ガイド:アメリカのコメディアンってどうやったらなれるのでしょう?
小池さん:
コメディアンとして舞台に上がれるまで、コメディークラブで3,4年は下働きです。僕も30代最初のころバスボーイ(主に食器などを片付ける裏方の仕事をする人)とか、バーの手伝いもあれば、テーブルの上のものを片付けたりとか、掃除とかもやりました。最初はコメディークラブにある倉庫で過ごしてたようなものです。
ガイド:
どんなコメディアンを目指しているのですか?
小池さん:
伝説のコメディアンです。そのために禁欲生活をしています。
ガイド:
禁欲ですか……(苦笑)どんなものに禁欲するってことなのですか?
小池さん:
女性とお金に溺れないことです。アメリカでコメディアンって物凄くモテるんです。まずステージと客席が近いから身近に感じるんでしょうね。面白いこと言ってる男性は、プライベートでも面白いこと言ってくれるんだろうって女性が寄ってくる。それで潰れていった優秀なコメディアンを知っているから、自分は絶対にああなるまいって教訓になっているんです。舞台でスキができてしまう。
お金も持っていると、同じようにスキができてしまうんですよ。だから前にNYのテイクアウトコメディーコンテスト(Take Out Comedy Contest)で優勝していただいた賞金2000ドルは、インドネシアのスマトラ沖地震の津波救済基金に全額寄付しました。この二つに自分は絶対に負けないよう努力しています。日本人なのだから、アメリカ人のできないものをアメリカ人のできないほどの努力で開拓していく。彼らの手の届かないような、後世に語り継がれるような伝説のコメディアンを目指しているのです。
英語ができなくてもコメディーはできる?
ガイド:英語でコメディーをやるとなると、ものすごいボキャブラリーがないと無理だよってアメリカ人の私の夫も言ってましたが、英語はどうやって学んだんですか?
小池さん:
僕の笑いに高いレベルの英語力は必要でないかもしれません。僕の英語をショーで聞いてもらえると、語学力が、いかに無いというのがわかると思います。たぶんNYにいる日本人の中で下から3番目くらいですね。ショーでも、ほとんど最初の1分間は、しゃべりより擬音ばかりたててますよ。
といっても、常に英語を学ぶ努力は欠かしません。自分が嫌だなぁ~って思う逆境ともいえる場所に、常に自分を置くんです。例えば、コメディアンの仲間は喋りもすごいわけで、そういった仲間の中に入って喋ることは、一般のアメリカ人と話をするより大変なんだけど、あえて自分は、その輪の中へ入っていきます。これは、僕の普段の生活習慣にも言えます。どんな事でも、逆境に自分の身を投じれば、それなりに返ってくるものがあるっていう信念みたいなものでしょうか。
【インタビューの途中で】
ブロードウェイ・コメディークラブの強面バウンサー。武道もかなり習得しているそうだ。 |
小池さんのショーを実際に見たが、彼の英語力はかなりのものだった。発音もネイティブに近い。やはり彼は元々ダンスをやっていたので、リズム感や音感が良いからではないだろうか? 彼は音のセンスもよい。音というのは万国共通である。従って言葉がわからなくても、万国共通で笑いをとれるのだ。今回も、小池さんは、アフリカ人の名前を舌を打つような音だけで表現して、笑いをとっていた。
余談だが同コメディークラブで警備をしていたバウンサーの方にコメディークラブで揉め事が起こることが多いのか実際に聞いてみたら、こういう答えが返ってきた。「実のところ客の揉め事はコメディークラブに限ったことじゃーないんだ。夜中になって酔いが回ってくると、チャージ(請求書)を見て怒る愚かな客が、どこにでもいるからね」
結局、酒の勢いはどこでも危険ってことか。
NYで活躍中の日本人コメディアン~中編へ続く
小池さんを日本のテレビで見れる!
予告編
日本時間 3月2日(金) 11:00 - 11:30PM NHK総合
「英語でしゃべらナイト」出演予定!!
再放送: 3月5日 1:10AM - 1:40AM NHK総合
3月8日 8:30AM - 9:00AM NHKBS2
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