アメリカにおける代理出産の現状<前編>に続き、『あなたの子宮を貸してください』の著者である平井美帆さんから、さらに一番気になる代理出産の費用などをインタビュー。
代理出産には、やはり莫大なお金が必要?
『あなたの子宮を貸してください』講談社、1,680円(税込) |
代理出産を依頼するには、どのくらいの費用が必要なのですか?
美帆さん:
あくまで一般的な相場ですが、代理母への報酬が2万ドル(約230万円)、エージェンシーの仲介料が2万~3万ドル(約230万円~345万円)。日本人経営のエージェンシーとなると、日本人による細かなサービスを受けられる分、仲介料が割高になるようです。
このほかに、体外受精や胚移植にかかる医療費、代理母への医療保険・生命保険、弁護士・カウンセラー費用、マタニティードレス代、航空費など、さまざまな経費が必要となります。日本在住の日本人が代理出産を依頼する場合、最低でも1千万円はかかるでしょう。
代理出産費は、事前にはっきりと予測できないという難点があります。体外受精を複数回実施すれば、それだけ費用がかさみますし、代理母が双子を出産する場合は追加料金が必要になります。また、子どもが未熟児で生まれ、NICU(新生児集中治療室)に入院すれば、1日約2,500~3,000ドル(約30万円前後)もの入院費がかかります。
ガイド:
代理出産を依頼する人たちは、どういう気持ちなのでしょうか?
美帆さん:
もうそれは……、筆舌に尽くしがたい想いなんじゃないでしょうか。取材をふり返ってみて、そう感じます。代理出産依頼主は、精神的、肉体的、さらに経済的に負担の大きい不妊治療を長く続けてきた人たちばかりです。何度も何度も体外受精を受けたけど、それでも妊娠しない。あるいは、病気で子宮を失ってしまった女性たち。
依頼主は、わが子を胸に抱くことだけは諦められないと、最後の望みを代理出産に託して渡米します。それは代理母になることと同様に、相当の覚悟と勇気が要ることだと思いました。
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