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知られざる舞台裏、ボーカリストの苦労とは? 日本人女性ジャズシンガー後編

日本では会社勤めをしながら、音楽への情熱を持ち続け、NYでプロのジャズシンガーとしてステージに立つYukakoさんにインタビュー!

執筆者:溝口 弘恵


NYでプロのジャズシンガーとして活躍中のYukakoさんインタビュー。日本人女性ジャズシンガー前編では、NYのステージに立つまでの苦労を語っていただいたが、今回は彼女のこれからの夢や、ジャズのアーティストを目指す人へのアドバイス。
伝統芸能を残すためのジャズミュージシャン?

ジャズは、もはや伝統芸能?!

黒人が始めたはずのジャズも、お金にならないからヒップホップやラップのアーティストを目指す人が増えていて、マーケットとしてもジャズを聴く人が少なくなっていて、金持ちじゃないとジャズの演奏を続けていけないって雰囲気があるのですが?

「たしかにジャズはクラシック化してきていますね。それでもマーケットのあるところにはあるんです。年配でベテランなミュージシャンは、そういうところのつながりが狭くて深いから続けられてて。

ジャズを選んだのは、伝統芸能を残すことのように、誰かがそれを続ける必要性があると思うし、なんといってもジャズが好きだからっていうのが理由ですね。それでも、これからは昔の人が語りついでいるスタンダードな曲をやるばかりじゃなく、オリジナルの曲を書いてメッセージを残していくのがいいなぁとも思うので、詩や作曲をする活動もやっていきたいです。」

日本の伝統芸能を残すことに興味ある外国人が、日本にやってきて文化を学び、それを伝承してたりする。それと同じで、日本人も逆に海外の伝統芸能を残すために活躍しているわけで。文化伝承に貢献する人っていうのは、お金をガツガツ稼ごうというよりも、貧乏してでもそれをつづけるというマインドが素敵だ。

ところで楽器を演奏する人なら、外国人であろうと音に違いはないけど、NYでシンガーってアクセントなど母国語でない英語で歌うわけだから、大変じゃないですか?

「NYで歌うのは、英語でジャズを歌うため表面的なものから脱したいというのがあります。もともと英語がネーティブじゃないから、英語をしゃべる環境に自分をおくことによって、自然な表現になるよう。アメリカ人の発音のようにはいかないけど、かえってアクセントのある英語がオリジナリティーになりうるとも思います。

将来は、ジャズをNYと日本でやっていきたいのですが、私自身は音楽家としてのキャリアがあったわけではなく、名前が通ってるわけではないため、なかなか門戸が狭いです。なので、これからコネづくりが大変です。

そもそも日本の生活だと、仕事の後に音楽を聴きにいくという風習があまりないですし。日本はチャージが比較的高くて、気軽にレストランなどで生演奏を聞けないのが現状です。ジャズクラブだって、人を呼ばないと来ないので、自然にジャズを聴く客が集まるということが難しいです。音楽を聴かない人が、音楽を聴くようになるという環境がないんです。たとえ音楽を聴く人でも、有名なプレーヤーの曲ばかりで、その人ばかりになってしまう」

たしかにNYにいると、メキシカンレストランで突然、民族衣装をまとったメキシカンの演奏がはじまったりするMama Mexicoや、オペラを気軽に楽しみながら食事できるイタリアンレストランCafe Taciなどもある。私のお気に入りの店だ。

最後に、これからの夢を語っていただけますか?
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