沖縄の伝統工芸と食
壷屋のやちむん |
沖縄のやちむん(焼物)は、14~16世紀の中継貿易が盛んだった琉球王朝時代に中国や東南アジアから伝わったとされています。薩摩支配後は朝鮮半島や薩摩の影響を受けつつ、独自の技術を発達させてきました。
やちむんは、荒焼(南蛮焼き)と釉薬をかけて焼いた上焼に大別することができます。カラカラ(酒器)やダチビン(抱瓶=携帯用酒器)やシーサー、厨子甕(骨壺)と多種多様ですが、共通するのは素朴で温かみのある質感と色合いです。那覇市の壷屋や読谷村が有名です。
代表的な紅型のデザイン |
染め・織物も14~16世紀にかけて中国や東南アジアから伝わりました。首里王府の保護・統制下で、質の向上と維持発展が図られたためか、沖縄の各地域ごとに独自の技法を誇ります。染めの有名なものとしては「紅型」、織では「かすり」「花織り」などがありますが、その種類や技法は多岐にわたっています。
繊細な琉球漆器 |
琉球漆器もまた中国との交易が始まった14世紀後半以降にさかのぼります。もともとの技法は中国ながら、独自の技術をもとにオリジナルなデザインを開発しつつ今に至ります。
琉球王朝時代は朱塗りでおおらかな花鳥図の文様。薩摩の侵攻から廃藩置県までの時代には黒塗りの山水図など。また、太平洋戦争後からアメリカ統治時代は、黒塗りにハイビスカスの図柄が。本土復帰以降は朱塗りの無地物や古典作品復活のきざしが見られます。
色鮮やかな琉球ガラス |
琉球ガラスは戦後のものです。アメリカがもたらした大量の廃ビンを原材料としたため、熱に弱いという欠点がありましたが、独特の気泡と色の美しさから、本土復帰を契機に工芸品としての地位を確立しました。
現在では各地のガラス工房から次々と新しい作品が生まれています。
【沖縄の食】
亜熱帯性気候の沖縄では、本土とかなり違う食文化が根付いています。中国や東南アジアの影響が強く、豚肉を余すところなく利用したり、中国の豆腐に近いサイズと硬さを持つ島豆腐を日常的に食しています。
宮廷料理・東道盆(トゥンダーブン) |
近年、沖縄の食の乱れ(欧米化)が指摘されていますが、本来の伝統食に立ち返れば、これほどバランスの良い「命薬」(ぬちぐすい)はありません。沖縄のお年寄りが食べ物のことを「ぬちぐすい」と言うのは、身近な食材を上手に取り入れて健康を維持しているからにほかなりません。
なお、庶民料理とは別に、沖縄には宮廷料理もあります。日本と中国の食文化を取り入れたもので、色・盛り付けにも趣向を凝らしています。琉球時代は宴席料理として供されていました。
※今回の紹介記事は、沖縄観光コンベンションビューロによる沖縄県の資料を参考にさせていただきました。
■沖縄の概要 位置・面積・気候・人口・産業
■沖縄の自然 サンゴの島・独自の動植物・自然体験
■沖縄の歴史 琉球人・琉球王国・沖縄と日本・沖縄戦
■戦後の沖縄 アメリカ時代の沖縄・日本復帰から今日まで
■沖縄の文化 ニライカナイ・御獄信仰・祖先崇拝・沖縄方言
■沖縄の伝統芸能 民俗芸能と宮廷芸能・島唄の世界・三線
■沖縄の工芸と食 焼物・染め織物・琉球漆器・琉球ガラス・沖縄の食