山の中へタイムスリップ
「木曾路はすべて山の中である」。島崎藤村の夜明け前の書き出しのように、木曽の町は、深い谷底に連綿とつながる。木曽11宿と呼ばれ、かつての中山道の面影を色濃く残す町並みは、どこか懐かしく、宿のある木曽福島も、まるで江戸時代の街道にタイムスリップしたような町だ。
鉄筋建ての旅館に木をふんだんに使い、リニューアル。館内には千本格子や囲炉裏を復活させた |
ところで、木曽には、冬にしか入手できない「幻の漬物」があるのだが、その漬物がこの宿の献立に使われているという。その漬物には植物性乳酸菌が驚くほど豊富で、花粉症や気管支ぜんそくなどアレルギー症状を抑制することで知られているのだが、さて、どんな漬物なのか。
おん宿蔦屋の冬の楽しみでもある。
木曽福島は、名古屋からわずか90分。新宿からも直行高速バスに身をゆだね4時間。ちらちらと雪の舞う静かな町だ。木曽福島駅に降り立つと、いかにも山の中に来た!という雰囲気満点。隠れに来たぞというシズル感が湧いてくる。「おん宿蔦屋」は1万円代で気軽に泊まれ、冬の期間中は一層安くなる。2室ある露天風呂付きの客室も、冬なら1万円代とお得。静かな冬は木曽のベストシーズンかもしれない。
2室ある露天風呂付き客室。露天風呂の眼下には木曽川が流れる |
ロビーの奥にあるお風呂は、木曽川に面した温泉露天風呂と、古くからの胃腸薬として伝わる「百草丸」の成分を籠に入れて浮かせた内湯の二種類。信州には古くから薬草風呂に入る風習がある。もちろん、温泉もよい湯だが、「漢方」の湯もなかなかオツなものである。
さて、ひと風呂浴びた後は、お楽しみの夕食!