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男が癒される宿「蔵群」(2ページ目)

飲み物は全て宿泊料に含まれる「オールインクルーシブ」を採用する「小樽旅亭蔵群」の真髄。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

実は決して気取らない、男が愉しめる宿。

蔵群
小さな看板と重厚な木の扉の玄関。扉の向こうには、おだやかな時間と空間が広がる。

私は、初冬のある日、一人で滞在した。
通常の宿泊料金に一万円を足せば、ひとりでも泊まれる。もちろん、そんなことはホームページにも載っていないので、知る人ぞ知る。週末を避けるというマナーを守りさえすれば、その禁断の味を誰もが味わえるはずだ。申し訳ないが、いくら札幌出張といえども、毎度旅費をケチって泊まるビジネスホテルのすえた臭いは勘弁願いたい。人生で与えられた時間はそう長くはない。
そのときに思ったこと。この宿は、意外にもなかなかの「料理宿」だ。
キングサーモン(北海道では大助と呼ぶ)のフィレ、アンコウの肝汁、有機栽培きらら397。北海道に住まう人たちが、自分たちのために取っておきたいと思う食材が並ぶ。もちろん、酒にも合う。
食事を運んでくれる若いスタッフに話を聞いた。
「蔵群で働くことが憧れだったんです。」
中国や韓国など、アジアのスタッフも汗を流す。もちろん、海外VIPのためでもあるが、日本や小樽との文化交流生としての意義も果たしている。
主人の眞田さんは言う。
「どんなにお客さんが飲んだとしても、原価で千円も飲みません。それより、気取らず、お金のことなど気にせず、心から寛げる宿を目指したい。」
だから、家族でも来て欲しいという。キッズプログラムが充実する海外のリゾートのようなプログラムも作りたいとのこと。北海道中を巡ることができる「小型リムジンサービス“クールスター”」とも提携した。垢のついていない、ホンモノの北海道の自然を子供に知らせたい。そんな親子が、蔵群に泊まる姿を見られるのもそう遠い将来ではないかもしれない。
蔵群。
まだ若い主人が、日本にはない新しいコンセプトをもとに創造している宿。派手さはないが、ホンモノを追求する「男の癒し」にはちょうどいい隠れ家である。



小樽旅亭 蔵群
北海道小樽市朝里川温泉2丁目685番地
一泊二食36,750円(税込み、二名一室のときの一人料金)
http://www.kuramure.com/
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