銀座三丁目の仲通り。
細竹のはまった引き戸をがらりと開ける。
小さな玄関とロビーは、どこか昔の家の土間の空気が漂う。
新築の匂いがしない。
手塗りの壁の珪藻土が呼吸しているからだろう。
夏には、足を銅製の桶で洗って、裸足になってみることもできる。
床は良く見ると竹の集成材。裸足の足裏が気持ちいい。
迎えてくれるのは、笑顔の女性スタッフ。
銀座吉水のスタッフは旅館のプロではない。
肩ひじ張らない自然な応対が逆に心地よい。
4階から8階が客室フロア。全部で11室。
面白いのは各階で微妙に雰囲気が違うこと。
竹の階、火の階、水の階、とコンセプトが分けられている。
だいたいのお部屋には、洗面・トイレのほかシャワールームが付く。
4畳半から8畳の和室には、無農薬いぐさで織られた畳が使われている。
余計な備品がないので、はじめ少し違和感を覚える。
しかし、一度この部屋、この布団に寝たら、おそらく銀座のど真ん中にいることを忘れてしまうだろう。翌朝、宿泊客がくちぐちに「静かだし、抜群に寝心地がいいので良く眠れた」と言っていたのが印象的だった。まさに、その通りの寝心地。
夕食は原則付かないB&Bスタイル。
でも、せっかくなので、2階のダイニングで夕食もいただく。
献立はその日によって違う「おまかせ料理」。
写真をご覧になってもおわかりの通り、一見精進料理風かもしれない。
でも、自然の恵みを受けて育った無農薬・無化学肥料の旬の野菜や豆、産地直送の魚、添加物・防腐剤・化学調味料を使わない味噌・醤油で作られた料理はどれもずっしりとした食べ応え。それに自然な味付け。だまされたと思って、豆腐や納豆は、何もつけないで食べてみて欲しい!
エビスビールもどんどん進む。
食後には銀ブラ。夜風が涼しい。
路地裏のBarでまたワンショット。
夜には宿の玄関が閉まるので、秘密の扉からご帰還する。
最上階には、個室のお風呂がふたつ。
壁一面の檜の壁から香りがただようお風呂の窓からは銀座の夜景が煌いている。
東京の夜空を見上げ、風呂に入っていると自然とまどろんでくる。