日常の多忙から離れて、頭の中をからっぽにしたい・・・
東京から一時間。
あなたなら、どこに隠れますか?
私が訪ねたのは・・・
湯宿さか本。
森に囲まれた田圃の細いあぜ道を往き、紅葉のトンネルを抜けると、その宿はあります。
暖簾をくぐった土間の玄関には、薪焚きのおくどさん(竈)。はだしのまま案内された板張りの居間には静かにクラシックが流れています。
2階には小さな和室が2室あり、入口の障子を開けると森の風がほんのりと吹き抜けていきます。
庭にはご主人の愛犬が寝そべり、裏の竹林では鶏が走り回っています・・・。
この森の宿には、何もありません。
テレビも、冷房も、スリッパも、ドライヤーも、余計なサービスが、何もない。
ついでに携帯電話も圏外です。(バスタオルと浴衣の用意だけあります)
ただ、あるのは、山海の幸と、美味なる手打ち蕎麦。
そして、裏山で湧くにごり湯と、風と、静けさ。
都会人はこの静けさには、最初、慣れないかもしれません。
かえって、些細な音が気になるかもしれません。
ふだんの忙しさに身を置いていると、何もしない贅沢はかえって苦痛に感じるかもしれません。
でも、二泊もしてみてください。
湯に浸かり、空を眺め、畑の野菜を食し、美酒を極め、風に吹かれ、まどろみ、うぐいすの声で目覚め、また湯に浸かり、頭のなかを真っ白にしていくことで、心身が生き返っていくのを感じます。まさに「究極の癒し宿」。