吉野山の桜の尾根は、南に女人禁制の霊山・金峯山山上ヶ岳(大峰山)に続きます。
その昔、役小角が桜の木に刻んだという蔵王権現が、この山々の総本山、金峯山寺蔵王堂のご本尊。吉野山の千本桜は、時代を超え、霊場に長い旅に出る修行者が、権現信仰の証として献木を続けてきたものなのです。「奥駈修行」といって行者装束で岩山を駈ける修行者たちの姿をTV等で見たことありませんか。その修行のスタートとゴールが吉野山。実は、吉野の桜は、仏教信仰にはなくてはならないご神木だったのです。
花満開の4月上旬、蔵王堂では、桜花を本尊にお供えし、人間の諸罪を懺悔する法要があります。今ではお花見シーズンになると行楽の人でごった返す吉野山ですが、そんな修験道の歴史に思いを馳せながら一味違った観桜をしてみるのも一興です。
吉野山は、尾根筋に開けた参詣道沿いに旅館や宿坊、土産物屋などが延々2kmにわたって立ち並ぶ山上の街で、子供たちのために吉野山小学校もあります。
その尾根から谷にかけて、ロープウェイのかかるあたりを「下千本」、如意輪寺付近を「中千本」、吉野水分神社あたりが「上千本」、そして女人結界も近い西行庵一帯を「奥千本」と呼び、4月上旬から下旬にかけて、計三万本のシロヤマザクラの彩が山を駆け上がっていくのです。
せっかくの観桜。
はるか下界の臨時駐車場に車を停め、長いロープウェイの行列や参道の混雑に汗流しつつ、早々と日帰りで帰っていくのももったいありません。
ここはゆっくり(といってもこの時期どの宿も満館になりますが)、薄ピンクに染まった山々をお部屋やお風呂から眺めながら、一日かけてお花見に興じることにしましょう。
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