【安くなる理由 3】一部屋当たり人数
(ホントはもっと安くなるはずなんだけど)
旅館料金というのは、一部屋当たりの宿泊人数が増えれば安くなっていくのはお分かりのことと思います。旅館とは「客室」と「食事」の組合わせで料金が決まっています。そのため、人数が増えれば増えるほど「客室」見合の料金がワリカンで安くなっていくわけですね。でも、厳密に「室料がいくら、食事料がいくら」と決めている旅館は皆無に近く、だいたいがドンブリ勘定、経験値で「こんなものかな」と決めているのです。
厳密に室料や食事料を決め、利用者に選んでもらえば、とても合理的かつ誤解も生まず良いと思うのですが、それを出来ない事情があるのです。それは「一部屋に多人数入れば、より儲かる」料金で今落ち着いているから。すなわち、4~5人入ったらもっと安くなってもいいのです。室料と食事料を分けたなら、家族旅行など4~5人で一室というケースはもっともっと安くできるでしょうね。でも、何故それができないのか!
それは、もちろん「4~5人入ってくれた時の儲けがなくなるから」という本当の理由のほか、言い訳に使われるのは「2人一室料金が4~5人一室に比べ高く見えてしまう」という理由。
2人で贅沢に一部屋を使うなら、4人で泊まるよりワリカンの室料が高くなるのは当たり前です。でも、4人一室の「家族は土曜日しか来ない」けど、2人一室の「熟年夫婦やカップルは平日にも来てくれる」お得意様。そのため、平日に来てくれるお得意様の料金を「高く見せる」ことはできないという旅館側の言い訳があるのです。
そんな言い訳も使いながら、現状の「一部屋に多く入れば安くなると見せかけて、儲けている」状態を維持していると言えるでしょう。
一部屋に入れば入るほど効率が良い料金であるため、土曜日には2人一室を受けなかったり、平日でもひとり旅なんて「極力受けたくない」というホンネが見え隠れしているのはご存じですよね。
■提 言 旅館の方へ
旅館料金ほど「うさんくさく思われている」料金はないことをそろそろ認識されてはどうでしょう。利用者には「隙を見てボッタくるんじゃないか」と怖れられているドンブリ勘定の1泊2食料金のほか、サービス料、子ども料金、施設使用料、取消料、持込料、チップと、利用者側にルールの見えない料金ばかりが揃っています。業界団体の方も、自分たちの役割として、こうした制度改革に取り組まれたらいかがでしょう。まずは、1泊2食料のうち、部屋料・食事料・施設使用料の内訳を明らかにし、料金変動の理由を明示して、誤解を生まない料金制度を作ってください。そのうえで、需要を喚起するような必要な割引をどしどし行ってください。