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ひとり旅の宿が少ないホントの理由 ひとり旅歓迎の宿(2ページ目)

ひとり旅を受けてくれる宿って少ないですよね。いったいなぜ?どうして?ではお教えしましょう。ついでに「ひとり旅歓迎」の志の高い宿もご紹介!

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

理由その2。これこそ真の理由。「ひとり旅は儲からない」からです。試しに、空いているのに宿に申し込んでみてください。ほとんど一人は受けてくれないでしょう。

これは、旅館の料金構造に問題があるのです。
とにかく旅館の料金(一人当り1泊2食付)というのは、一部屋に詰め込めば詰め込むほど儲かるようになっています。江戸時代の旅籠を知っていますか。男女別相部屋でどんどん詰め込む。この風習が残っているのでしょう。
例えば4人一部屋で一人10000円だったとしましょう。すると、概ね3人の時は一人12000円、2人の時で一人14000円くらいです。

とすると、4人の時の「一室あたり売上合計」は4万円、2人の時は2万8千円となります。これから食事材料費を引きます。概ね食事材料費は平均単価の25%程度(ここでは3000円とします)ですので、それを引いた「一室当たり総利益」は4人の時は2万8千円、2人の時は2万2千円となります。
つまり、一室に4人の時はもっと安くできるのに、ここで利益を稼ぎ出しているのです。団体さんが欲しい理由がおわかりでしょうか。
上記の例で、何人入っても旅館の利益が等しくなる売値とは、4人一室9000円、3人一室11000円、2人一室15000円です。でも、実際にはこんなに差が開いていないケースがほとんど。これでは、旅館の側からすると2人一室が「高く見えすぎてしまう」のです。そこで少し平準化した料金を採用しているのですが、そうするとどうしても一室に多人数入ってくれるお客様志向になり、1名一室などとても受けていられないという原状になってしまっているのです。

ところがどっこい、待てども暮らせども、一部屋に定員いっぱい入ってくれるお客様(特に団体)なんてもうやってきません。そこで、ひとり旅も積極的に受けていこうという旅館が増えてきているのです。これからもどんどん増えていって欲しいですね。

あえて旅館を責めるつもりはありません。これから変わってくれれば良しとしましょう。
しかし、どの旅館でもひとり旅を受けられる解決策として、旅館の「食事」にきちんと価格をつけるとともに、部屋は室料制にして何人入ってもほぼ同じ料金にすることを提案していきたいと思います。もちろんどさくさでの値上げは言語道断ですけどネ。

食事と部屋。このふたつを「原価」で対比すると1:3です。
しかし、食事と部屋にそれぞれ「売値」をつけ、その割合を1:1くらいにすればよいのです。
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