鉄道/寝台・夜行列車

最後の力走、寝台特急「富士・はやぶさ」(3ページ目)

半世紀にわたって東京と九州各地を結んできた伝統ある寝台特急ブルートレイン。最後まで残った「富士」「はやぶさ」もいよいよ2009年3月で引退となる。栄光ある列車の最後の姿をレポートする

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

門司で「富士」と「はやぶさ」を併結、一路東京を目指す

はやぶさの客車
「はやぶさ」の客車がバックしてきて、「富士」と連結される
はやぶさのテールマーク
「はやぶさ」のテールマークのついたドアは折り込まれ、車内で「富士」と行き来できるようになった
門司駅のEF81
門司駅ホームの暗がりでEF81はブルトレの先頭に立って出発を待っていた
門司駅の行先標示板
門司駅の標示板には東京行「はやぶさ」「富士」の案内が出ている
部屋に荷物を置き、鍵をかけてカメラとビデオだけ持って部屋を後にする。機関車のすぐ後ろの客車最前部に向かい、門司到着を待つ。7分後、ドアが開くとすぐに飛び出す。列車は、長いホームの真ん中あたりに停車。あっという間にEF76は切り離され、闇の中へ消えていく。

代わりに、青い客車がゆっくりとバックしてくる。テールマークは「はやぶさ」となっている。先に到着していた「はやぶさ」は「富士」との連結作業のため、一旦ホームを離れ、「富士」の機関車がいなくなった頃を見計らって戻ってきたのだ。手際よく連結作業が行われるのを見届けると、「はやぶさ」の客車6両分を歩いて先頭へ向かう。朝、下関で見たEF81が、二列車を連結して12両編成と長くなった列車を門司から下関までの一駅間だけ引っ張って本州へ向かうため発車を待っている。

17分の停車時間はあっという間に過ぎた。ホームの東京行き「はやぶさ」「富士」という表示を見ながら車内へ戻る。遠くの土地で東京行きという表示が目に入ると、線路は日本全国一つにつながっているのだという実感が湧いてくる。ローカルな駅名だけの羅列では旅立ちの感興は持ちにくい。長距離列車というのは旅情たっぷりだ。

次のページでは、夜の寝台車の様子をレポートします。
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