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秋に旬の食材と名月を楽しみ、愛でる。 年中行事と食文化5-お月見(2ページ目)

秋の風物詩・お月見は、十五夜と十三夜と、年に2度あります。しかもこの2つの月見の日には、それぞれ食べ物にちなんだ名前もつけられています。今回は【年中行事と食文化】シリーズ第5弾。

執筆者:野上 優佳子

 芋名月と豆(栗)名月

十五夜と十三夜は、それぞれ別名を持っています。十五夜は
「芋名月」、十三夜は「豆名月」または「栗名月」と呼ばれます。

・十五夜にまつわる各地の風習

十五夜には、よくススキの穂やお月見団子を供えますが、芋を供える地域が全国各地に見られ、「芋名月」とも呼ばれます。
鳥取県のある地域では芋神様のお祭りとして、この日を芋をはじめて掘る日としているそうです。また九州地方には、綱引きをする風習もあるのだとか。

十五夜の月見団子は、最下段8コ・中段4コ・上段2コ・最上段1コというふうに、15個の団子を用いて飾るところもあります。中国では、月餅が飾られます。
その他のお供え物としては、初物のサツマイモや里芋、秋の七草(萩・すすき・葛・撫子・女郎花(おみなえし)・藤袴・桔梗)などがあげられます。

面白いのは、かつてはこの十五夜だけは「他の家の畑に入って芋を盗んでも良い」や、供物の団子を盗んで食べると健康でいられるなどの風習があったということ。
先を削った棒で、民家の庭先に供えられた団子を突いて取り「団子差し(団子突き)」と呼ばれていたのだそうです。しかし、教育上よくないという見解から、廃止になったところがほとんど。

・ 十三夜にまつわる各地の風習

十五夜が芋名月なのに対し、十三夜は「豆名月」「栗名月」と呼ばれます。また、十五夜の「中秋の名月」に対しては「後の月」「名残の月」といった名称もあります。

豆や栗、というのは作物の収穫の時期と重なることから名づけられたものでしょう。十三夜には、豆や栗を供物として飾る地区が多く見られます。そのほか、十三夜にまつわる各地の風習を見てみましょう。

長崎県対馬地方や、福岡県榎津地区には、十五夜の団子や芋同様、その日だけ他人のところから豆を盗んでも良いという風習があったそうです。南九州には焼米を供える風習、神奈川県三浦市では「里芋を13コ月に供え、子供たちが各戸をもらい歩き、それを煮て食べる」という風習がかつて見られたそうです。

注目されるのは、東北地方には、十三夜を「芋月さま」「イモヅキサン」と呼ぶ地域があること。収穫時期のズレが、こういった違いを生んだのかもしれません。


秋の風物詩にちなんだお団子の作り方は、おかあさんの味のエキスパート・【料理のABC】の大石寿子さんが、「母から娘へ渡したい知恵その4・おはぎの作り方」でご紹介くださっています。ぜひご参考になさってください。

秋の夜長、金色に光る月を愛で、旬の食材に舌鼓。とても贅沢な時間の過ごし方ですね。
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